2024年秋ドラマ23作、“視聴率無視”で採点「実話ベースの感動作」「定番“イヤミス”からの令和版アップデート」
■『無能の鷹』 金曜23時15分~ テレ朝 出演者:菜々緒、塩野瑛久、井浦新ほか 寸評:「アンチ成長物語」のようなコンセプトは面白く笑えるシーンも多いが、小笑いが続いて「ドカン」は少ない。また、各話終盤の感動や「なるほど」が薄めで、「無能さのストレスが勝ってしまう」という感もある。「周囲の人々が主人公に振り回されるコメディ」というより、「勝手に勘違いしていく」というパターン化が目立つのが気がかり。 採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】
■『放課後カルテ』 土曜21時~ 日テレ 出演者:松下洸平、森川葵、田辺誠一ほか 寸評:一見地味だが、医療+学園+家族の3ジャンルをかけ合わせた間口の広いハイブリッド作。少年少女の無邪気さや残酷さ、悩みや友情などが良い意味で淡々と描写されている上に、子どもがかかる病気や対処法を知り、家族の絆に涙腺がゆるむなどの見応えもある。命をめぐる外科の医療ドラマはさんざん作られてきたが、当作で描かれている病気は小学生にとっての深刻さがあり、感情移入させられていく。令和の子どもたちが持つ空気感を過不足なく映し出す鈴木勇馬監督の演出も冴え、「子役のスター候補が勢ぞろい」という楽しみも。「優男」のオファー多い松下の代表作になるか。 採点:【脚本☆☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆☆ 期待度☆☆☆】
■『潜入兄妹 特殊詐欺特命捜査官』 土曜22時~ 日テレ 出演者:竜星涼、八木莉可子、及川光博ほか 寸評:「バレたら即ジ・エンド」という命懸けの潜入にハラハラドキドキできるか、次回が見たくなるかどうか。「新たな潜入サスペンス」と掲げているが、兄妹で復讐、犯罪集団などの設定に目新しさはなく、どちらかと言えばツッコミどころを探しながら楽しむような作品に。敵役の俳優名を伏せて「鳳凰」「青龍」などの怪しいネーミングで引っ張るプロデュースは『占拠』シリーズを踏襲しているが効果は疑問。 採点:【脚本☆☆ 演出☆ キャスト☆☆ 期待度☆】