女優・古村比呂「子どもには弱い自分を見せることができた」がん闘病中に支えられた息子たちの言葉
国立がん研究センターによると、2022年のがん罹患数は約100万人に上ると予測され、高齢化社会に伴い、その数は年々増加しているという。NHK連続テレビ小説「チョッちゃん」のヒロインを務め、一躍人気俳優になった古村比呂さんも2012年に子宮頸がんを発症した一人。2度の再発を乗り越え、現在は子宮頚がんの正しい理解と予防のための啓蒙活動を積極的に行っている。古村さんに、がんを経験した “がんサバイバー”として気づいた課題を聞いた。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice)
ネットや本のがん情報は正しくないことも
――古村さんは長い期間がん治療を経験されましたが、がん患者に対する社会全体の理解は進んでいると感じますか? 古村比呂: がん治療しながら仕事をしていく人が少しずつ増えてきている中で、がん患者を取り巻く環境はだいぶ変化してきました。ただ、がん当事者に対する偏見や誤解に対する改善はこれからだと私は思います。 がん患者の中には、仕事をしたくても、急に体調が悪くなると迷惑かけてしまうからと、社会復帰をためらうという方もいます。周囲の人たちと「何かあったときにどうすればいいのか」というやりとりがうまくできてないのが現状なのかもしれません。 ――ご自身の経験上、万が一がんにかかったときのために、どういったことを知識として持っておくべきだと感じますか。 古村比呂: がんだとわかってから治療までの期間ってすごく短いんですよ。「次にこういう検査を予定していますので、どうするか考えてきてください」と言われても、どうしたらいいかわからない人が多いと思います。なので、あらかじめ情報を集めておくほうがいいでしょうね。 ただ、ネット記事の見出しや書籍のタイトルに「治る」と書いてあるとついつい信じてしまいたくなるんですよね。でも実は、ネット上にあふれている情報の中に正しいものは意外と少ないんだなと私は感じたので、得た情報の信ぴょう性は主治医の先生に相談することが大切ですね。 それから、講演会などで「心配探しには気をつけましょう」とお伝えすることも多いです。がんになると、診療のたびに先生から「最近どうですか、何か心配ごとはないですか」と聞かれることが増えます。心配ごとが解決していても、「次は何かないかな」とついつい新たに心配探しをしちゃうことがあるんですよね。小さな異変に気づけるのは大切なことなんですが、必ずしも良い方向にいくとも限らない。心配を探しすぎないように気をつけてほしいなと思います。