世界GP王者・原田哲也のバイクトーク Vol.129「小椋藍のチャンピオンは普段からの努力の賜物」
タイGP終了時点での結果を見ると、Moto2は藍くん、アロン・カネット、そしてフェルミン・アルデゲルがそれぞれ3勝を挙げています。にも関わらず、2戦を残して藍くんがチャンピオンになった。この差がどこで付くかって、0ポイントのレースの数です。0ポイントのレースは、カネットが5回、アルデゲルが4回ある一方で、藍くんは1回だけ。勝てないレースでしっかりとポイントを積み上げてきたからこそ、チャンピオンが取れたんです。 このあたりは、チャンピオンを懸けて戦ったことがない人には、なかなか分かりにくいかもしれません。ルーキーのように、参戦開始から年数が浅いライダーなら、1戦1戦での勝利がとにかく欲しいわけですから、「抑えのレース」なんて想像もつかないでしょう。でも、レースというゲームはあくまでもシーズン通してのポイント争い。藍くんは見事にこのゲームを理解し、勝ち切った、ということになります。 いや~、本当にものすごいことをやってのけてくれました。同じ日本人として誇りに思いますし、ぜひ彼に続いて、世界で活躍する日本人ライダーがもっと増えてほしいものです。今もどこかで次世代ライダーが、「小椋藍が世界チャンピオンになれたんだから、自分だってなれる!」と、頑張っていることを信じたいですね。 ※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
Text: Go TAKAHASHI Photo: Pirelli