ボクシング“21歳のホープ”森武蔵が井岡一翔の所属ジムに電撃移籍して再起…井岡イズムで世界を狙う
森が薬師寺ジムを離れる情報が業界内に流れると誘ってくれたジムもあった。だが、森が移籍を希望したのは、尊敬する井岡が所属する志成ジムだった。井岡と同じ空間で、その練習方法や取り組みを見るだけで学ぶものがあると思った。 加えて東京のジムであれば、スパーリングパートナーに恵まれ、しかも、世界王者の井岡を抱える志成ジムであれば、世界戦実現のプロモーション力にも期待できる。 そして幸いにもAmbition GYMから名前を一新した志成ジムは、新しく目黒にジムを開設し、この15日にオープンしたばかり。これまでは拠点を持たぬジプシージムで、井岡も他ジムに間借りして練習してきたが、やっと練習に集中できる環境が整い、井岡も「これまでは気を使ってきたが、気持ちが楽になる。これですべての環境が整った」と語っていた。移籍のタイミングとしても最高だ。 所属選手も井岡に加えて、元WBC世界フライ級王者の比嘉大吾、フェザー級新人王で元日本ユーススーパーフェザー級王者の木村吉光、大湾硫斗の計4人しかいないため、将来世界王座を狙える21歳のホープの加入は志成ジムを活気づかせることになるだろう。 森は井岡と同じく佐々木修平トレーナーを担当トレーナーに再スタートを切ることになる。佐々木トレーナーは、元WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者、内山高志氏の専属トレーナーを務め、井岡とは東農大ボクシング部の先輩後輩のつながりもあり、再起後からコンビを組んできた。戦術家であり情熱のある名トレーナーで、21歳の森武蔵をどう進化させるかに期待が寄せられている。 すでに森は東京での新居探しも終え、再スタートへの準備を整えた。 「清水さんとの試合で自分に足りないものがわかった。もっと強くなるために東京に来た。必ず世界王者になって変わらず応援してくださる方々に恩返ししたい。井岡さんの気持ちに応えるのも世界ベルトだと思う」 井岡は新ジムのオープンレセプションで、「ここから新たな歴史、伝説を作る」と宣言したが、それは、森武蔵のためにある言葉だったのかもしれない。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)