なぜ井上尚弥は次なる狙いを「年内に日本でドネアとやりたい」と語ったのか?
WBA世界バンタム級スーパー、IBF同級王者の井上尚弥(28、大橋)が13日、横浜の大橋ジムで本格練習を再開した。井上は6月19日に米国ラスベガスでIBF世界同級1位のマイケル・ダスマリナス(28、フィリピン)を3回KOで下して防衛に成功。帰国後、自主隔離期間があったが、この間、計画されていたWBC世界同級王者のノニト・ドネア(38、フィリピン)とWBO世界同級王者のジョンリエル・カシメロ(32、フィリピン)との統一戦が消滅。カシメロは、ドネアに勝ったことのあるWBA世界同級正規王者のギジェルモ・リゴンドー(40、キューバ)と8月14日に米国で対戦することが、再度セットアップされた。井上は、注目の次期対戦相手として「年内、日本」でドネアに狙いを定めていることを明かした。日本人初、ボクシング史上6人目となる4団体統一への動きがいよいよ具体化してきた。
「カシメロ×リゴンドーの勝者とは来春に」
新型コロナ対策の隔離期間を経て“モンスター”が再始動した。ダスマリナス戦は、3ラウンドでカタをつけた。まったくダメージもなく、行動を制限されていた間も「筋トレはしていた」という。 “モンスター”が羽を休めていた、このわずかな時間でバンタム級戦線が劇的に動いた。 当初、ドネアとカシメロが8月14日に米国で統一戦を行う予定だった。井上も「ドネアの応援」で現地に乗り込み観戦する予定だったが、カシメロがドーピング検査になかなか応じず、加えてドネア側に侮辱的発言を続けたため、ドネア側が対戦を拒否し、この試合は流れた。結局、当初の予定通り、同日にカシメロはリゴンドーと対戦することになった。 WBC王者のドネアか、あるいは、カシメロ×リゴンドーの勝者か。ファンは、井上の次なるターゲットに注目していたが「あくまでも自分の希望」と断った上で初めて狙いを明かした。 「タイミング的にはドネアとやりたい。年内にドネアとやって、8月14日の試合(カシメロ×リゴンドー戦)の勝者、WBO王者と来春あたりに(対戦)。バンタム級にとっても良い流れなのかなと。ドネアとの対戦場所?(日本でも海外でも)どちらでも。ドネアとやるなら日本の方が盛り上がるんじゃないですかね」 次戦にドネアとの対戦を熱望した。 ドネアとは2019年11月のWBSS決勝で判定勝利して以来、2年ぶりのリマッチとなる。井上は強烈なボディブローでダウンを奪ったが、元5階級制覇王者は意地で粘ってKO決着はできなかった。しかも、序盤にドネアが武器とする左フックを右目に浴び、眼窩底骨折を負い片目だけで戦った。 井上は当初ドネアとの再戦に消極的だったが、ドネアが5月にWBC世界同級王者のノルディ・ウバーリ(フランス)を伝家の宝刀の左フックで倒して王座を奪取。井上への挑戦権を勝ち取ってきた。 「ドネアがウバーリにああいう勝ち方をしたことが(対戦したい理由の)第一。あとはWBCベルトを持っていること。それでドネア2をやる意味があると思う」 それが次なるターゲットをドネアに定めた理由。 井上は、38歳にして王者に返り咲いたドネアをリスペクトしているが、ボクサーとしての進化を認めているわけではない。 「対戦相手がウバーリだったから、あの展開になった。ドネアの体力だったり、反応だったりが、あの年齢で一昨年よりも上がるとは思えない」 そこはシビアだ。