東京ショー、マツダのあの4ドアクーペが秘める市販計画 新型Xの直6搭載?
マツダが東京モーターショーに出品し、流麗でシンプルなデザインが注目を集めているクーペ型コンセプトカー『VISION COUPE』には、市販化へ向けた動きが密かに進行しているようです。モータージャーナリスト、池田直渡氏のレポートです。 【画像】次世代ロータリー搭載 マツダ「RX-VISION」への4つの疑問
エンジンのめどがなかった前回の『RX-VISION』
10月28日から11月5日まで開催される第45回東京モーターショーにマツダは2台のコンセプトカーを出品した。 一台は『魁 CONCEPT』。ソウルクリスタルレッドを身にまとうその姿は明らかにCセグメントハッチバックで、誰がどう見ても次期アクセラにしか見えない。隣に堂々と置かれた次世代エンジン、SKYACTIV-Xからみても、筆者が8月にドイツで試乗してきた第2世代SKYACTIVシャシーの第一弾かつSKYACTIV-X搭載車第1号となることはもはや明々白々である。このスタイルについて、是非ともこってりと書きたいのは山々だが、それ以前に今すぐ報じなくてはならないスクープを掘り当ててしまったのだ。 スポットライトを浴びたもう一台、『VISION COUPE』の話だ。なんと市販化計画が進行しているのだ。
話は一度、2年前に戻る。マツダは前回の東京ショーで、RX-7の後継車を意図した『RX-VISION』を出品した。実は『RX-VISON』には直接的な市販化計画はなかった。何より肝心のロータリーエンジンが、排ガスでも燃費でもまだ市販できる様にアジャストできていないのだ。 しかし内装の写真を見れば明らかなように、このクルマのセンタートンネルは異様に高い。つまりプロペラシャフトが高い位置を通るのだ。そんな高い所にクランク軸を持つレシプロエンジンはないから、エキセントリックシャフトの位置が高いロータリー専用デザインであることは明白だった。しかしその肝心のエンジンは「まだ」だ。つまり『RX-VISON』はエンジンのめどが立っていないコンセプトカーだったのだ。 だから筆者はマツダのとある偉い人に言ったのだ。「ショーに絵空事のハリボテは出品しないとマツダが今まで語って来たのはウソだったんですか?」 この原稿は、この先マツダの色んな人の証言をパズルのように組み立てて話が進んでいく。広報の人もいればエンジニアも主査級のひともデザイナーも、複数の取締役も含んでいる。もちろん「話してはいけない」ことになっていることは誰もペラペラしゃべれない。しゃべれないけれど、彼らは本音本気のモードで問い詰められた時、ウソもまたつきたくないのだ。そうやって聞き出した話を筆者は流石に誰が何をしゃべったとは書けない。書けないので、架空の人物「松田氏」を設定して聞き出して行きたいと思う。