東京ショー、マツダのあの4ドアクーペが秘める市販計画 新型Xの直6搭載?
連続で大型クーペを出品したマツダの意思
さて、まとめよう。マツダではVISION COUPEは開発計画が進行中である。エンジンは直6のSKYACTIV-X。おそらくSKYACTIV-Xのハイパフォーマンスバージョンとして位置づけられる。車両重量は1.5トンを切り、価格は500万円目標。発売はおそらく2022年。 となると、噂になっているアテンザのFR化計画とも紐付く。直6ならFRとのマッチングが明らかに良い。何よりプレミアムブランドまで含めてほとんどのDセグメントカーが4気筒化した今、6気筒なら明確な差別化が可能だ。と考えると実は順番が逆なのではないかと思う。アテンザの直6・FR計画があってこのクーペなのではないだろうか? あるいは北米で苦戦中のCX-9のリニューアルに際して、エンジンコンパートメントを完全にやり直して、この直6が使えるかもしれない。そう考えるとマツダが直6エンジンを開発しても採算が取れる可能性は十分にある。マツダの生産ラインは、1台ずつ違うクルマが流れてくるのが基本の混流生産ラインで、しかもそこにはロードスターも流れる。FFとFRを混流生産するノウハウもあるのだ。 もちろんこうしたプランは途中で立ち消えになることもある。しかし、前回今回と続けて大型のクーペモデルを出して来ている所にマツダの意思を感じる。マツダ復活を支えて来た立役者たちの卒業制作という意味合いを考えても、彼らはなんとかしてこれらのモデルを世に出そうとしているのではないか?
-------------------------------- ■池田直渡(いけだ・なおと) 1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。自動車専門誌、カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパンなどを担当。2006年に退社後、ビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。現在は編集プロダクション「グラニテ」を設立し、自動車メーカーの戦略やマーケット構造の他、メカニズムや技術史についての記事を執筆。著書に『スピリット・オブ・ロードスター 広島で生まれたライトウェイトスポーツ』(プレジデント社)がある