大展望「開聞岳」登山のあとは「砂むし会館 砂楽」でデトックス!『これぞ指宿な旅』詳細レポート【指宿市】
■開聞岳が神体山の「枚聞神社」
市内には開聞岳をご神体山とする神社があるというので、そちらにも足を延ばすことにした。市の南西部、開聞岳の麓に鎮座する枚聞(ひらきき)神社だ。 古くから交通・航海の安全や漁業守護の神として、地域住民から信仰を集めきたこの神社は薩摩の一の宮。「初詣はここに訪れる」というほど地元で親しまれている存在だ。 宮司のお話によると、もともと神社は開聞岳に祀られていたが、874年に開聞岳が噴火したことで、現在の場所に移されたのだという。また、「普通、神社は南向きになっているけれど、この神社は開聞岳にお参りできるよう南を背にして建っている」と教えていただいた。 拝殿の向こうに開聞岳のピークがはっきりと見え、そちらに向かってお参りする。開聞岳の山頂付近には枚聞神社の奥宮となる御嶽神社が祀られており、開聞岳が噴火した旧暦の3月4日に例祭を行なっているという。 島津藩主からの崇敬も厚く、総朱塗りの極彩色で飾られた本殿は県の重要文化財にも指定されている。天明7年(1787年)に島津重豪が作らせたという“龍柱”は、向拝柱に雲龍が彫られた堂々たるものだ。また、宝物殿に国の重要文化財に指定されている「松梅蒔絵櫛笥」(玉手箱)が収蔵されていたが、現在は数年がかりの修理が行なわれており、今後は年に数回展示予定だという。
■指宿で感じる大地の恵み
太古の噴火によって豊富な温泉がもたらされ、「天然砂むし温泉」のようなユニークな人気温泉観光地が生まれた指宿市。日本百名山のひとつに数えられる開聞岳も噴火によってできあがり、その開聞岳を神体山とする神社が地域で深く親しまれている。そうした大地の恵みを全身で感じられるのが指宿の魅力。温泉宿も充実しているので、泊まりで出かけて“これぞ指宿”という楽しさをたっぷり体験してこう。 栗山 ちほ(くりやま ちほ) 長野県出身。標高1300mの八ヶ岳山麓育ち。幼少から自然と親しみ、夏は登山、冬はスキー&スノーボードと、通年アウトドアを楽しんでいる。 スキー誌を経てフリーランスとして独立後、ウィンタースポーツや登山の雑誌・Webのライターとして活躍。 ときどき山ごはんのレシピ提案や執筆も担当している。 杉村 航(すぎむら わたる) 山岳フォトグラファー。 1974年生まれ。兵庫県育ちの長野県在住。 沢に薮山、山スキー、道なき道をいく山旅が好き。 ライフワークはトラウトフィッシング。美しいヤマメや イワナを求めて、全国の渓流に足しげく通う日々。 小谷村山案内人組合所属、北アルプス北部遭対協。 全日本釣り団体協議会公認・フィッシングインストラクター
栗山 ちほ,杉村 航