平気で「ちらし寿司の素」買う人の盲点【ごはん編】、「残念すぎる酢飯」が多い、その驚きの裏側は?
これはみなさん不思議に思うようで「なぜりんごが使われているのですか?」と聞かれることがよくあります。 これはマヨネーズの原料となる「醸造酢」の原料に、りんごが使われているからです。 ■もっと早く安価に作れる「アルコール酢」「速醸酢」 さて、昔ながらの伝統的な製法に対して、もっと早く作る方法があります。 「伝統的なお酢のつくり方」ではわざわざ米から酒を造りますが、「そんなことをしなくても、アルコールから直接お酢を作ればいい」という発想が浮かぶわけです。
つまりアルコールを買ってきて、そこに「酒粕」と「酢酸菌」を入れて、樽などで発酵させれば、手っ取り早くお酢ができるわけです。これを「アルコール酢」と呼びます。 さらに、これをもっと早く作るためには、ここに空気を送り込みながら強制撹拌(かくはん)して発酵を促します。これを「速醸法」と呼び、それで作られたお酢を「速醸酢」といいます。もちろん「アルコール酢」も「速醸酢」も、先ほど述べた「醸造酢」です。 「速醸法」だと3~5日でできるし、なんといっても非常に安価です。
しかし、この「アルコール酢」「速醸酢」は、風味のある日本酒を原料としないから、お酢のコクや風味がありません。鼻にツンときつさが来て、とげとげしい味がします。私に言わせれば、化学物質である「酢酸」そのものに近い味です。 さらにいえば、「伝統的な製法」で作ると、4%程度の濃度(酸度)のお酢ができますが、「速醸法」で作ると10~15%という高濃度(酸度)のお酢ができます。 これを5%程度に薄めて製品にするため、さらに風味が飛んでしまうのです。
それから「瓶詰のちらし寿司の素」に使われている「粉末酢」についても述べておきましょう。粉末酢単品の商品も売られています。 これは高濃度(酸度)の「合成酢」や「速醸酢」などの「醸造酢」を、「酢酸ナトリウム」や「デキストリン」などの粉末の基材にしみこませて作るのです。焼きそばの粉末ソースも同じような作り方をします。 「粉末酢」はお酢本来の風味がなくて、私にはおいしいとは思えません。 以前は「粉末酢」を使っていたメーカーも液体にするなど、業界でも切り替えが進んでいるようです。