銃社会に反対するアメリカ代表ヘッドコーチのスティーブ・カー、トランプ元大統領銃撃事件に「今こそ敬意と尊厳を」
ステフィン・カリー「前向きさと希望を見い出したい」
アメリカ代表のヘッドコーチを務めるスティーブ・カーは、以前からアメリカの銃社会に反対の立場を取り、必要な時には強いメッセージを発信してきた。そして今回も、その『必要な時』がやって来た。 現地7月13日にペンシルベニア州で起きたドナルド・トランプ前大統領の暗殺未遂事件を受けてカーは「我が国にとって意気消沈させられる日だ。この事件は政治的分裂だけでなく銃社会を表している」と語った。 「AR15ライフルを持つ20歳の青年が元大統領を狙撃する。これをどう受け止めるべきなのかは難しい。この国が抱えている問題を考え、この先に何が待っているのかと考えると恐ろしくなる。トランプが撃たれなかったのは幸いだが、とにかくいろんな意味で気分が落ち込んでいる」 カー自身、1984年にレバノンのベイルートで起きた銃撃事件で父親を亡くした過去を持ち、今までに何度も銃法改正を求める運動をサポートしてきた。2年前にテキサス州の小学校で銃乱射事件が起き、19人の児童と教師2人が犠牲となった時にも、ウォリアーズのヘッドコーチとしての立場から、NBAのプラットフォームを用いて人々にこう訴えかけている。「学校やスーパーマーケットで銃乱射事件が起きているのを見ながら銃規制に動かない議員たちに聞きたい。人々の命よりも自分たちの権力が優先なのだろうか? 残念だ、黙祷を捧げよう、という言葉にはもううんざりだ。こういう事件に感覚を麻痺させてはいけない」 今回もカーは意気消沈しているが、メッセージを発することで現状を変えようとしている。「今こそ、胸に着けられたUSAのロゴを誇りに思い、オリンピックに参加することを光栄に思う」とカーは言う。「選手には国を代表して敬意と尊厳を持って行動するためには、人として最高の自分を見せることが大事だと伝えた。自分たちの国で起きていることを考えると情けない気持ちになるが、だからこそ敬意と尊厳を持って行動したい」 ステフィン・カリーも「悲しい」とコメントしている。「我が国の政治情勢を巡る議論がある中でこのような事件が起きた。そうなると国民として何を改善すべきかとの感情が沸き上がってくる。何よりもまず銃規制だよ。誰かがそうやって人に危害を加える可能性があるのが現状なのだから。でもそれ以上に前向きさと希望を見い出したい」