こうのとり後継、ISSへの物資補給機「HTV-X」を公開 三菱電機
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の伊藤徳政プロジェクトマネージャは「こうのとりに比べ輸送能力がさらに向上。大気圏突入前に技術実証もできる。このような“二刀流”が大きな特徴だ」とアピール。三菱電機の鵜川晋一プロジェクト統括は「(同社が)さまざまな人工衛星と共に開発してきた多くの宇宙関連機器をうまく使い、機能や性能を向上させた」と話した。 日本はISS計画への参加にあたり、運用経費の分担金を技術提供の形で支払うこととし、こうのとりを開発した。米国のスペースシャトルが2011年に退役した後は、こうのとりが大型の船外用物資を運ぶ唯一の手段となり、バッテリーの輸送などを通じてISSに不可欠の存在となった。また、宇宙船を直接ISSに接触させて結合する従来のドッキング方式に代わり、まずISS船内の飛行士がロボットアームを操作して宇宙船を捉え、その後に結合する方式を初めて採用。日本が安全性を実証したことで、米国の民間宇宙船もこの方式を採用しており、HTV-XもISSでは踏襲する。
米露の全3機種の補給機が失敗を経験する中、こうのとりは2015年に退役した欧州の「ATV」とともに無事故を続けた。18年の7号機では、ISSからの離脱後に実験試料の入った小型カプセルを分離し、洋上に着水させ、日本初の独自の物資回収にも成功している。
こうのとり最終9号機が運用された2020年の時点で、HTV-Xは翌21年度にも運用を始める計画だった。H3の運用開始が遅れたほか、搭載するコンピューターや、飛行士が船外活動をする際にも安全基準を満たす太陽電池パネルの開発などに、時間がかかったという。