ライダーだけでなく乗らない人もスカッとするバイク映画5選!
その旅を通じて若き青年はゲバラとなる!『モーターサイクル・ダイアリーズ』
のちの人生で革命家チェ・ゲバラと呼ばれることになる若き医大生エルネストが、相棒と共にバイクにまたがり、自身の生き方を決定づける南米大陸縦断の旅に出るーーー。荒れた道が続く中、両側いっぱいに荷物をぶら下げた『怪力号』(ノートン500)が白い煙を吐き出しながらマイペースに進み、事あるごとに車体が横倒しになって彼ら二人を勢いよく路上へ投げ出す様が、旅のはじまりを賑やかに彩る。 かくも序盤はコミカルにはじまりつつ、しかし名匠ウォルター・サレスはほんの何気ない瞬間に、ゲバラの人生を突き動かす人、土地、情景をナチュラルに描きこむことを忘れない。目の前に横たわる大きな河を見つめながらゲバラは何を思うのか。世の中の不平等をなくし、目の前の病んだ人々、虐げられた人々の暮らしや人生を救いたいという気持ちは、革命家としての彼の紛れもない第一歩になった。その哲学や精神の形成過程を垣間見ることができる。まさに『エピソード1』的なロードムービーだ。
いつまでも鮮烈であり続けるバイク映画の金字塔!『イージー・ライダー』
アメリカン・ニューシネマの代表作であると同時に、制作から実に55年が経った今もなお、一向に古びることなく刺激的であり続けるインディーズ映画の傑作。麻薬取引で大金を手にしたヒッピーの二人、ビリー(デニス・ホッパー)&ワイアット(ピーター・フォンダ)は愛車のハーレーにまたがって荒野を貫く一本道を走り続ける。それは彼らにとって自由気ままなバイク旅。しかし道すがら立ち寄った町々は思いのほか閉鎖的で、ヒッピー然とした彼らを目の敵になにがなんでも排除しようとする。それは価値観が入り乱れた60年代末のアメリカが持つもう一つの素顔でもあった……。 同じハーレーでもフォンダが乗るのはチョッパー。ホッパーの愛車とはフロントフォークやハンドルの高さが異なり、そんな二人の織りなすシルエットが『Born to be Wild』に乗せて画面を横切っていく様は痺れるほどカッコいい。そこに留置所で知り合った若き弁護士(ジャック・ニコルソン)が加わると、交わされるセリフから奥深いアメリカの精神性や表情が見えてくる。そしてあのラストーーー。何度見直しても胸のざわめきが抑えられなくなる一本である。