倒産企業の約7割が最終赤字、債務超過 人件費上昇に追いつかない実態が鮮明に
倒産企業はコロナ禍からの業績回復に遅れ
倒産企業の売上高増減比は、前々期→前期が▲7.3%の減収、前期→最新期が2.4%の増収だった。 一方、生存企業は、前々期→前期が3.3%の増収、前期→最新期が7.7%の増収だった。 生存企業は、コロナ禍が落ち着いた前期から業績回復に向かい、最新期はさらに拡大した。 だが、倒産企業は業績回復が遅れ、最新期での回復も限定的だった。
倒産企業は実質3期連続の営業赤字
営業利益率(営業利益合計÷売上高合計)は、倒産企業が前々期18.5%→前期▲1.3%→最新期▲2.4%と急減した。これは2023年4月に民事再生法を申請したユニゾホールディングス(株)が、前々期に不動産売却を進め、営業利益1,126億2,900万円を計上したことを含んでいるため。同社を除いた前々期の営業利益率は▲0.08%だった。実質的には、倒産企業は3期連続で営業赤字だったといえる。 一方、生存企業は前々期4.4%→前期5.3%→最新期5.3%と、対照的に収益力を維持した堅調な推移をみせた。
コロナ禍前より人件費負担が上昇
売上高人件費比率【(給料手当+役員報酬)÷売上高】について、今回の調査と2019年調査を比較した。2019年調査の倒産企業は、前々期14.6%→前期14.1%→最新期14.5%とほぼ横ばい推移だった。ところが、今回の調査では前々期15.8%→前期16.2%→最新期18.0%と上昇した。3期平均は2019年調査が14.4%なのに対して、今回の調査では16.6%で、2.2ポイントの差をつけた。 一方、生存企業も2019年調査では前々期14.9%→前期15.0%→最新期15.4%とほぼ横ばいで推移、倒産企業とほぼ同水準だった。対して今回の調査では、前々期27.6%→前期28.3%→最新期27.1%と高い水準で推移した。3期平均は2019年調査の15.1%に対し、今回の調査では27.6%で、12.5ポイントの差を広げた。倒産企業と比較しても、今回の調査では11ポイントの差をつけている。 今回の調査では、アフターコロナに向けて経済活動が再開すると同時に人手不足に見舞われ、人材確保のために賃金上昇を受け入れざるを得ない様子がみられ、特に生存企業では如実に現れた。また、倒産企業の売上高人件費比率が生存企業よりも小幅の上昇にとどまったのは、業績回復の遅れから収益改善が進まず、賃金上昇に応じる余裕がなかったためとみられる。