倒産企業の約7割が最終赤字、債務超過 人件費上昇に追いつかない実態が鮮明に
倒産企業は約7割が債務超過
自己資本比率(純資産÷総資産)が0%を切る『債務超過』比率は、倒産企業が前々期52.0%→前期61.9%→最新期69.2%と右肩上がりの推移をたどった。 赤字企業率の増加に比例し、債務超過に陥る企業も増加し、倒産直前の決算では約7割が債務超過だった。 一方、生存企業は前々期15.5%→前期15.9%→最新期16.2%と、ほぼ横ばいで推移した。利益確保による財務内容の安定が、生き残りの明暗を分けたといえる。
生存企業 自己資本比率30%以上が約6割
最新期の自己資本比率は、生存企業では約6割(構成比58.5%)が自己資本比率30%以上に分布し、大半の企業が財務内容の安定を維持していることがわかる。 一方で、倒産企業でも4.4%が自己資本比率30%以上だった。一見、相応の自己資本を有していたとしても、急激な資金需要に応じられず、短期的に資金がショートする“黒字倒産”などに陥るケースがあるためで、自己資本比率だけで倒産危険度を測るのは早計といえる。
倒産企業の借入金依存度は高止まり
有利子負債構成比率【(長・短期借入金、社債など)÷総資本】は、借入金への依存度を示す。倒産企業は前々期45.0%→前期56.3%→最新期58.9%と、増加推移をたどる。特に、コロナ禍の前々期から前期への増加が顕著で、ゼロゼロ融資などのコロナ対応資金繰り支援の副作用とみられる。 一方、生存企業は前々期29.9%→前期29.8%→最新期30.3%と、30%前後で推移した。 過剰債務を解消できず資金調達余力を欠き、経営破たんを余儀なくされた様子がうかがえる。
倒産企業は6割以上が業績回復に至らず
売上高が前期比で減少した減収企業率では、最新期は生存企業が44.3%だった。一方、倒産企業は61.4%で、17.1ポイントの差があった。 最新期は、倒産企業も前期の64.8%から3.4ポイント低下し、業績回復の兆しはあったが、依然として6割以上が業績不振から脱することができなかった。収益改善に直結する売上回復が進まず、行き詰まった企業の多さを示している。