ザウバーがF1で最後に入賞してから1年経過……アウディは母体チームの大不振をどう食い止める?「あらゆる領域で改革が必要」
ザウバーが最後にF1でポイントを獲得してからちょうど1年が経つ。アルファロメオブランドとして、カタールGPでバルテリ・ボッタスと周冠宇がダブル入賞を果たして以来、ザウバーという名称に戻ってからチームは入賞に手が届いていない。 【動画】アウディ、F1参戦発表に際しショーカーを公開 シーズン序盤のビットストップ問題や、開発でのパフォーマンス伸び悩みにより、今季はグリッド最後尾を彷徨っているザウバー。このチームを母体に2026年からF1にワークス参戦を行なうアウディは、現状に満足していない。 スイス・ヒンウィルにあるザウバーの本拠地では、レギュレーションが一新される2026年以降に向けた投資が増加しているが、F1での成功を追い求める上では不十分。マクラーレンやアストンマーティンが新しい施設に投入しているリソースの量を見れば、明らかだ。 このことは現在チーム代表職を務めるアレッサンドロ・アルンニ・ブラビもよく理解している。 アルンニ・ブラビ代表は、レッドブルからジョナサン・ウィートリーがチーム代表として来季加入するため、職務のほとんどを引き継ぐことになるが、現在のチームにはあらゆる面で改善の余地があると言う。 「アウディ側もザウバー側も、この1年半でマネジメント体制が変わった」とアルンニ・ブラビ代表は振り返った。 「プロジェクトの明確な見直し、目下の課題に応じた目標の再設定があったと思う」 「F1での挑戦は、他のどのモータースポーツカテゴリーとも全く違うものだと確信していた。もちろん、ライバルに追いつくためには多くの作業が待っている」 「スタッフの面でも、施設の面でも、技術の面でも、ツールの面でも、我々はさらにレベルアップする必要がある。しかしそれは分かっていたことだ」 「改善するだけでなく、勝つチームになるためには何が必要なのか、今はより正確に理解していると思う」 「マッティア(ビノット/ザウバーCOO兼CTO)の経験、ドルナー(ゲルノット・ドルナー/アウディCEO)のコミットメントによって、彼らはこのチームの方向性、必要なモノについて明確なビジョンを共有していると思う」 「マクラーレンの投資を見ると、彼らは新しい風洞を作ることを決めた。アストンマーティンでは、新しいファクトリーに新しい風洞、新しいシミュレータ、スタッフ増員、首脳陣の起用……直近ではエイドリアン・ニューウェイが加わった」 「ザウバーがファクトリーチームになるために、改善する必要があるというだけではない。F1では決して開発を止めてはいけない。改善に終わりはない。技術面でも人材面でも、全ての領域でね。これは我々にも必要なことだ」 技術者上がりのビノットが、以前フェラーリでチームを率いていたことを考えれば、チームに厚みが増したことになる。そして、それまでF1プロジェクトを率いてきたザウバーの元CEOであるアンドレアス・ザイドルとアウディの元取締役会会長であるオリバー・ホフマンによる権力闘争の余波も、ビノット加入によって解消された。 アルンニ・ブラビ代表によると、ビノットの仕事は単に2026年以降のことだけではなく、2025年をより良い状態でスタートさせるための短期的な補強にも貢献するという。 「我々は全員でチームを作り上げており、今からしっかりとした土台を作り上げることが非常に重要だと思う」とアルンニ・ブラビ代表は言う。 「彼はチームのスポーツ面での成功に全責任、説明責任を負っている。スポーツでの成功は2026年ではなく、今から始まっている。我々は今、土台を作っている」 またビノット自身は、近年は中団グループでの成績に慣れているザウバーのスタッフの考え方を、勝利に飢えたモノに変えることが最も重要だと語った。 アルンニ・ブラビ代表と同様、ビノットは「正しい決断」を下すことの重要性を口にした。そして2000年代前半に、ジャン・トッド元フェラーリ代表が万年成績不振のチームを圧倒的なチームへと引き上げた頃の経験を引き合いに出した。 「我々は小さな組織からスタートしていると理解している文化的なマインドセットの観点からだけでなく、あらゆる面で明確なビジネス変革が必要だ」とビノットは説明した。 「そして単純に、一歩一歩、正しい決断を下し、正しい解決策を下し、数年後にはF1でベンチマークとなるような本当に勝てるチームになるという明確な目標を持つ必要がある。全面的にはサポートがあり、私はこのプロジェクトに納得しているし、それが我々の手に委ねられたということは十分に確信している」 「時間を判断し、その価値を示すのは非常に難しいことだと思う。確かにギャップは重要だ。そこで働く人の数、設備、利用可能なリソース、道具という点で重要だ」 「細部に至るまで、何を見ても、以前私が慣れ親しんだモノとは違うところがある」 「しかし私としては、それで良いと思っている。私はベンチマークを知っているわけだからね。我々がどうすべきか、どうすれば早くできるかという点で、このプロジェクトを確実に助けてくれると思う」 「現在のベンチマークは明確だ。一度に全てを行なうことはできないから、優先順位を決めているところだ」
Jake Boxall-Legge, Oleg Karpov
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