なぜ全米女子プロで渋野日向子は首位3打差の暫定13位の好発進に成功したのか?
首位を圏内にとらえる順位でフィニッシュできた要因は、正確なショットだろう。 フェアウェイキープ率は、実に92.9%だった。フェアウェイ右の樹木に命中させて唯一外した7番パー4(377ヤード)も、セカンドショットを木の枝に当てながらも2オンさせてパーをセーブしている。 最終18番でフェアウェイの中央に運ぶ会心のティショットを放った渋野は、直後にキャディの定由早織さんに「そう言えば(キープ率は)100%かな」と話しかけている。 「フェアウェイを外したのを忘れていた7番も(2打目が)運よくグリーンに乗ってくれたので、すぐに気持ちを切り替えることができました。フェアウェイからのミスショットもほぼほぼなく、最後に2つバーディを奪ってゼロにまで戻せたのは本当によかったです」 安定したティショットはパーオン率に反映される。18ホールでパーオンを逃したのは前半のショートホール2つと、後半にボギーとした13番の3度のみ。83.3%に達したパーオン率はアゲインストだけでなく、時には横からも吹きつけた約5メートルの風を読み切っていたからにほかならない。 「アメリカツアーに来てからかなり風(に吹かれて)の試合をやっているので、ちょっとは前進しないと、とは思っているので。ティショットも本当にすごく飛んでいたし、いい感じで風に乗ってくれていると、今日は風とお友だちになれたのかなと思っています」 8月上旬から海外ツアーに挑んで6戦目。スコットランドオープン、連覇がかかった全英女子オープンと2戦続けて予選落ちしたが、米本土へと舞台を移した過程で、風の質や強さ、芝生の種類と未知だった環境にどんどん適応している。 まさに進化の跡でもあるフェアウェイキープ率とパーオン率の高さに、昨年の日本ツアーでバウンスバック率1位を獲得した負けん気の強さを海外でも融合させた。そして、冒頭で記したドラマ『半沢直樹』には、もうひとつの決め台詞として「倍返しだ!」がある。 「とりあえず4パットをしないように。ロングパットもほぼほぼ距離が合っていたので、そこはしっかりと今日もこれから練習して、明日に備えたいと思います」 ホールアウト後にジョークまじりに得意のスマイルを浮かべた渋野は、夕暮れが迫っていた練習グリーンへと直行した。2度目のメジャー制覇へ向け渋野は好スタートを切った。