出産時に何度も消えた旦那。初めての親子水入らずは、分娩台の上での怒涛の説教タイムに
夫婦で戦った陣痛
ほどなくして旦那が到着。このころにはすでに本陣痛が来ており、病院が貸してくれたひょうたん型のバランスボールに四つん這いでつかまりながら唸っていた。 旦那に腰を押してもらう。助産師さんのうまさには到底敵わないが、ないよりマシだった。 「内診するため、旦那さんいったん外で待っていてください」と、外に出されると、旦那はまた消えた。あとで確認したらデイルームに行っていたらしい。看護師さんが「旦那さん呼んできますね」と言ったものの、なかなか戻ってこないので、また痛みの間に「来てー」とLINE。それでも全然戻ってこないので、歯を食いしばりながら電話するも、出ず。これものちに説教した。 陣痛室での時間はまさに生き地獄だった。テニスボールを借りて、旦那にお尻をグーーーっと押してもらった。陣痛は超ミラクルスーパー痛い下腹部痛と、岩石ばりに硬いうんこがマックス下痢のときのように今にも出てこようとするのを我慢する感覚だった。下痢は軟便が相場と決まっているので、岩石ばりのうんこが下痢の勢いで出てくるなんてことはあり得ないし、もしそんなことが起きたらなんとしてでも爆破を防がねば肛門が弾けて破けること間違いなし。だから、必死で我慢する。そんな感覚だった。 出産の必需品として挙げられるテニスボールは今まで何に使うのか知らなかったが、そのうんこをしたい気持ちを和らげてくれるのものだった。 バランスボールに四つん這いで突っ伏しながら唸り、陣痛の波が来ると旦那に合図して、テニスボールを肛門に入れる勢いで押してもらう。軍隊経験のある旦那の全力でも足りず、「もっと押して! もっと強く!」とお願いしたが、すでに旦那は汗ダクでヘトヘトになっていた。 このときの私は朦朧(もうろう)としながらも振り向き、「疲れるよね、ありがとう、ゴメンね」などと言っていたが、もちろんあとで、その力の弱さをダメ出しした。 陣痛が来ている最中、呼吸に失敗すると「ボゲボゲボゲェェエエエエ!!!!!!!!!!」みたいな声が出る。自分でも初めて聞いた声だったし、退院してから家で再現しようと思ってもできなかった。 「奥さんの吐く呼吸に合わせてテニスボールを押してあげて」と言われた旦那は、私が呼吸に失敗して唸るだけだと見当違いなタイミングでテニスボールを押してくる。しかも弱い。 ついには、私がベッドの頭の部分を両手で押し、自らお尻をテニスボールに押しつけることで両方から押す力が加わり、なんとかパワーを補っていた。言葉にする余裕はなかったが、マジで旦那には今後筋トレをさせると誓った。 「なんで無痛分娩にしなかったんだ!!!!」とふたりで後悔した。「ここまで地獄なら無痛分娩にしてたがががががががあああああ!!」と叫ぶ。覚悟していたつもりだったが、足りなかった。足りなすぎた。正直、夜中の前駆陣痛くらいの感じが本陣痛だと想像していた。