再放送NGでお蔵入り? 高視聴率でも闇に葬られた民放ドラマ(5)大ブームが起こした悲惨な事故とは?
放送当時は人気を博していた筈のあのドラマ作品が、なぜか再放送されない、もしくはいつの間にかされなくなった…。そんな作品に心当たりはないだろうか。今回は、何らかの理由で再放送が不可能となった不運な民放ドラマをセレクト。なぜ再放送できなくなってしまったのか、その理由を詳しく解説しながらご紹介する。第5回。(文・寺島武志)
『フードファイト』(2000)
放送期間:2000年7月1日~9月16日 放送時間:土曜21:00~21:54 放送局:日本テレビ系 脚本:山崎淳也、大良美波子 企画・原案:野島伸司 最高視聴率:21.5% キャスト:草彅剛、深田恭子、筧利夫、八千草薫、秋場まなと、木村拓哉、田辺誠一、佐野史郎、宮沢りえ 【作品内容】 清掃員として働く主人公・井原満(草彅剛)にはもう1つの顔があり、それは、勤務先の宮園総合食品の会長が闇で主催する大食い賭博大会「フードファイト」のファイター。 井原は大会で獲得した賞金を、自身が育った孤児院・つくし園に匿名で寄付していた。 【注目ポイント】 当時の大食いブームを受けて、元SMAPの草彅剛が主演を務め、高視聴率ドラマとなった。ドラマ放送終了後もスペシャル版が2本も製作され、さらなる続編が期待されるほどの人気シリーズだったが、2002年に愛知県の中学生が給食中に、本作や、数多くの大食い番組のマネをして窒息、死亡するという事件が発生してしまう。 この事件によって大食いブームは終焉を迎え、大食い番組が軒並み放送終了となる中、本作も続編が製作されることもなく、再放送もされていない。スペシャル版もシリーズ化を意識していたストーリーだったが、物語は未完のまま終わることになった。 また、もう1つの理由は、ゲスト出演者の不祥事だ。2001年にはいしだ壱成が禁止薬物所持の疑いで逮捕。さらに不倫報道で活動自粛に追い込まれる。続いて2007年には、羽賀研二が未公開株を利用した恐喝未遂と詐欺事件を起こし、懲役6年の実刑判決となり服役した。 一方で、SMAPの草彅剛と木村拓哉が共演(木村は声の出演)し、主題歌も彼らの名曲「らいおんハート」が採用され、157万枚を売り上げるミリオンセラーを達成した。 商業的には成功を収めたものの、既に度を超えていた大食いブームにより、“起きるべくして起きた”ともいえる死亡事故が、そのブームに引導を渡した形となった。
寺島武志