鹿島の怒涛6連勝に21歳”未来ホープ”GK沖悠哉の不敗神話
茨城県鹿嶋市で生まれ育ち、小学生年代のジュニアからアントラーズひと筋で心技体を磨いた。産声をあげた1999年は、ユースから昇格して2年目の曽ヶ端がトップチームでデビューした年。数奇な縁に導かれるように、キーパーを志したころから曽ヶ端の背中に憧憬の思いを抱いてきた。 「自分よりも20歳も年上の選手が現役でやっていることを考えると、いまでも不思議な感覚に陥ることがありますけど、こうして同じグラウンドで練習できることを幸せに感じています。暑い時期の練習でも手を抜かずに練習している後ろ姿を見ると、まだまだ足りない自分はもっと、もっとやらなきゃいけないと思わされる。本当に素晴らしい先輩方だと思っています」 味方へのコーチングの内容や質。キャッチングで駆使されるさまざまな技術。そして、シュートストップするためのポジショニング。日々の練習で曽ヶ端やスンテの一挙手一投足から学び、過密日程のなかで行われるリーグ戦へ全力で挑み、感じた課題を再び練習へフィードバックする。身長184cm体重82kgの沖のボディにはいま、成長を加速させるための理想的なサイクルが脈打っている。 「どちらかと言えば寡黙な方ですし、最終的には自分次第になってくるのでそこまでいろいろなことは言わないですけど、思い切ってやれとか、自信をもとうといった感じで、自分がモチベーションを高くもっていけるような言葉をかけてもらっています」 いまだにガラゲーを愛用し、無料通話アプリの『LINE』も利用していない41歳の曽ヶ端とのやり取りを、沖は嬉しそうに明かした。憧れの存在でもあり、もっとも身近なライバルでもあるJ1歴代5位、現役選手で3位、ゴールキーパーでは1位の533試合に出場しているレジェンドの思いも背負いながら、アントラーズの未来を担うホープはゴールマウスを守り続ける。 (文責・藤江直人/スポーツライター)