古江彩佳は五輪代表を逃すたびに逞しく、強くなってきた 永久シードプロが語る彼女のゴルフの真髄
「古江さんは、今季もずっと調子がよかったんですよね。初戦から2試合連続で4位タイ、3月のブルーベイLPGAでも3位になるなど、何度も優勝争いに加わっていました。でも、あと一歩足りなかった。オリンピック代表が確定する6月末の全米女子プロ選手権までに勝つことができませんでした。 ですが、3年前と同じく古江さんはエビアンで躍動。まるで"憑き物が落ちた"ように、彼女らしいゴルフを見せてメジャー制覇を遂げたのです」 森口プロが言う"古江らしいゴルフ"とは何か。8月20日現在、古江の平飛距離は251.64ヤードと米女子ツアー129位だが、バーディー数は252個と並み居る世界の強豪を抑えてトップ。そこに、"古江らしい"というゴルフの真髄が隠されている。森口プロが解説する。 「エビアンの最終日、古江さんは4つあるパー5うち、3つのホールでスコアを伸ばしています。この日、多くのイーグルが出ていた9番は2オンも狙えるホールで、刻むか、狙うか、迷いどころでしたが、古江さんは結局刻んで3オン、1パットのバーディー。 15番でもティーショットのキックが悪かったのもありますが、ここも2打目をレイアップ。3打目はグリーンの右奥に乗って、下り順目の10mほどの距離が残りましたが、見事にバーディーを奪いました。あれは入るとは思いませんでしたが、よく打ちましたよね。 以前、古江さんに話を聞いた時に、『自分はウェッジからスイングを作ったり、マネジメントを考えたりしてきた』と言っていました。彼女はそれだけウェッジのショットに自信を持っているので、この9番、15番のロングホールでも、2打目を無理せず、刻むことを選択できた。つまり、"3オン、1パットでバーディーをとる"というマネジメントを持っているということ。それこそ、彼女の強みになっているのです」 ただし、最終18番ホールのロングホールでは、古江は"3オン、1パットのバーディー"という選択をせず、手前に池が待ち受けるグリーンに向かって2オンを狙っていった。その時点で、一緒に最終組を回るステファニー・キリアコウ(オーストラリア)と通算17アンダーで並んでいたが、2オンに成功した古江は、難しいイーグルパットも沈めて劇的な勝利を決めた。森口プロが振り返る。 「手前に池があるグリーンに対して2オンを狙った最終18番パー5。セカンドの残り距離は180ヤード。古江さんのキャディーは打つ前に7番アイアンを勧めたそうですが、彼女は"見た目"で届かないと感じて、6番アイアンで打ちました。 スタンスがつま先下がりの傾斜がかかっていたので、当たりは少し薄くなりましたけど、グリーンぎりぎりにキャリー。そこからは、本人の思ったとおりの傾斜を伝って、ピンそば3mにつけました。 そのイーグルパットを打つ前、彼女は『相手の(キリアコウの)バーディーパットは絶対に入る。もしプレーオフになったら勝てる気がしないので、(このイーグルパットを)絶対に決めようと思い、入れることに集中した』と言います。