「突然の嘔吐」で営業終了、到着したら「ここはどこ?」…タクシー運転手が遭遇した「ヤバい酔っ払い客」
この年末年始、アルコールを摂取する機会がある人は少なくないだろう。お酒の飲み過ぎは、急性アルコール中毒になったり、日頃健康な人でも肝臓などの内臓への負担も懸念されるがそれだけではない。アルコールが入り気持ちも大きくなりトラブルを起こしたり、記憶を無くしたり、事故や事件に巻き込まれたりと「酔っちゃった」では済まされないこともある。 【マンガ】工事現場でよく見かける「交通誘導員」はいくら稼げる?78歳誘導員が仰天 タクシードライバーにとっては、酔っ払いは少し厄介な乗客だ。酔っ払いとドライバー、車内でどのようなやり取りがされているのか、エピソードを交えつつ、注意点をあげる。
「酔っ払い」によるドライバーと乗客のリスク
風が強い日の夜も更けた頃、前方にふらふらして手を振っている人が見える。「あれ、ひょっとしたらヤバい酔っ払いかも」稼ぐためには乗せたい……、だけど厄介なことは避けたい……、そんな思いと葛藤をしながら恐る恐る近寄ってみると、それは木の枝が風で揺れていたのだ。ホッとしたのと同時にどれだけ酔っ払いに恐れ戦いているのかと我ながら情けなくもなった。 そんな思いをするタクシードライバーは少なくないだろう。タクシーで売上をあげたいのであれば、繁華街での営業は避けて通れない。歌舞伎町、西麻布、六本木など繁華街それぞれに独特の雰囲気があり、中には近寄りたくない繁華街もある。夜が更けた繁華街では、日中の数倍トラブルが発生する。特に夜も更けた時の酔っ払いほど厄介なものはない。 「運転手さん、窓少し開けてもらってもいい?」 この真冬の夜中に風を浴びたいと思うには訳がある。もう吐きそうのシグナルの言葉でもある。この言葉を聞くとコンソールボックスに常備備えてあるエチケット袋に手を伸ばす。 もちろん、そんなシグナルを出さずに突如吐き出す者もいるが、その時のドライバーの落胆といったら……、もうお察しのことであろう。臭いは車内に充満し、ドライバー自身も吐きたくなる。吐いた車内に充満する嘔吐物の臭いはそう簡単に消せるものではなく、その後の営業にも差し支える。稼ぐつもりで繁華街に突入したのに、ものの数分で「これにて営業終了」ということは決して稀なことではない。 タクシー車内で、嘔吐した時に乗客が気になることがあるだろう。クリーニング代を払わなければならないのか、罪に問われることがあるのか。罪に問われるとしたら、どんな罪になる可能性があるのか。嘔吐など乗客の都合により、車内を清掃しなければ営業ができない場合は、法律上「刑法261条の器物損壊罪」に該当するおそれがある。 車内のクリーニング代に関しては、その乗客とドライバーのやり取りで済ませていたりして、酔っ払いということもありドライバーの泣き寝入りということも多かった。しかし、大手タクシー会社の日の丸交通が、嘔吐等による営業損害として車両のクリーニング代及び休車損害として、一律2万円の賠償金を請求すると発表した。今後は、他のタクシー会社も追随して請求されることになるであろう。 飲食代、タクシー代は経費で落ちるかもしれないが、嘔吐による車内クリーニング代は恐らく落ちないと思われるので無駄な出費を出すことになる。