「突然の嘔吐」で営業終了、到着したら「ここはどこ?」…タクシー運転手が遭遇した「ヤバい酔っ払い客」
「ここはどこ? 私は誰?」
見方によっては、タクシー車内で寝落ちした酔っ払い客は、静かで文句も言われることなく運転できるからいい。しかし、たまにではあるが、長距離など乗せた時、ひと眠りつき酔いが醒めて起きた時に放つ一言で背筋が凍ることがある。 「ここはどこ?」 乗客の言われた通りの目的地に着いたにもかかわらず、乗客から向けられる疑念と不安と怒りの目。女性客なら拉致されたと言わんばかりの恐怖の目。 「ここに行ってなんて言ってない!」と駄々をこねるが、しっかりと車載カメラに証拠は残っているのだ。そこから本来の目的地に向かうが、運賃も数倍かかり時間もかかる。 このように酔いが醒めた乗客ならいいが、本来の目的地でもないのにドライバーに促されるまま訳もわからずに降りて、千鳥足で見ず知らずの土地を彷徨い歩く泥酔客は危険だ。真冬の深夜の外はかなり冷える。その場で寝込んだりしたら凍死しかねない。 寝込むと言えば、「路上横臥」である。路上横臥という言葉は、あまり聞き慣れない言葉だろう。路上横臥とは、道路上で横たわっている人のことを指す。そしてこの時期、それに関する交通事故が増える。車道で酔っ払いが寝込み、それに気づかない車がその人を轢いてしまう路上横臥事故。気持ちよく寝たばかりに起きた時には、「ここはどこ? 私は誰?」と思っても笑い話では済まされないし、タクシーでの失敗話すらできなくなってしまう。 * * * 酔っ払って多大な迷惑をかける乗客はまだまだいる。本稿では紹介しきれなかった事例を、引き続き後編記事〈泥酔で服はドロドロ、車内では「吐くハラ」…タクシー運転手が遭遇した「最悪の酔っ払い客」〉でお伝えする。
二階堂 運人(物流ライター)