ウォンバットはお尻が「超硬い」のはなぜなのか、四角いうんちをするのはなぜなのか
硬いお尻で「巣穴つぶし」
興味深いことに、ウォンバットには敵から身を守る独特な方法があると言われる。 大きな歯と爪がありながら、頑丈な軟骨に覆われた硬いお尻を防御に使うのだ。 脅威を感じると、ウォンバットはたいてい巣穴に逃げ込み、お尻で入り口をふさいで頭を守る。それでも捕食者が巣穴に入ろうとすると、ウォンバットはお尻を使って敵の頭を天井で押しつぶし、殺してしまうかもしれない。 この技を「巣穴つぶし」と呼ぶのは、オーストラリア、ウエスタンシドニー大学の生命科学の准教授で、ウォンバットを保護する市民科学プロジェクトWomSATの主宰者であるジュリー・オールド氏だ。 長く語られてきた現象ではあるものの、実は私たちが考えるほどに「巣穴つぶし」は起こっていないかもしれない。「ある動物の行動についてよく耳にするようになったのは、インターネットの映像をより多くの人が共有しているせいだと思います」とオールド氏は言う。 しかし、生態系に不可欠なウォンバットが危害を避ける方法は、彼らが研究に値することを示すもうひとつの行動だとオールド氏は言う。 「ウォンバットのことを知れば知るほど、どうやって保護すればいいか、そして、生物多様性の全体をどう支えていけばいいかがわかるのです」
文=TIK ROOT/取材協力=Melissa Hobson, Tatyana Woodall/訳=鈴木和博