入浴時、せっけんで体を洗う必要があるのはどの部分?…風呂から上がったら保湿剤を
風呂やサウナと健康について考える「浴なび」
風呂やサウナの医学的な効用、注意点などを専門家らの談話やエピソードを交えながら紹介します。 【図解】わきの多汗症 診断基準は?
一日の疲れを取る入浴の際、多くの人が最初に行うのが、せっけんで体を洗うことでしょう。 日本石鹸(せっけん)洗剤工業会によると、せっけんの歴史は5000年前にさかのぼります。メソポタミア(現・イラク)の遺跡から出土した粘土板にせっけんの記録があります。皮膚病の治療などに使われたようです。 その後、12世紀頃からヨーロッパでオリーブ油と海藻灰を原料とするせっけんが生産され始めました。日本には戦国時代、ポルトガル船によってもたらされましたが、高価だったためあまり普及せず、江戸時代の町民たちは軽石や米ぬかを入れた袋などを湯屋で使っていました。 日本で広く使われるようになったのは明治期です。初の国産品は1872年に京都府の研究機関が製造しました。当初は業者が乱立して粗悪品が多かったのですが、90年発売の「花王石鹸」のように質の高い国産品も登場し、産業として確立していきました。
次の大きな転機が液体ボディーソープの登場です。工業会によると、1972年に牛乳石鹸共進社が発売した商品が最初のようです。その後、各社が競って新商品を出し、90年代後半には浴用固形せっけんの販売量を上回るようになりました。 液体派でも固形派でも、せっけんで体を洗う際にはコツがあります。「花王」(本社・東京)によると、ほこりや汗などの汚れはかけ湯などで落ちます。 せっけんは水では落ちない皮脂の汚れを落とすため、こうした汚れが多いわきの下や股、足の指の間などを中心に全身に使います。その際、ナイロンタオルなどでゴシゴシこするのはよくありません。肌表面がダメージを受け、乾燥肌などをまねくことがあるからです。 せっけんをしっかり泡立てて、手や柔らかい布をそっと滑らせることで十分、汚れは落ちます。 入浴後はバスタオルでさっと体の水分をふきとった後、できるだけ早く保湿剤を塗ることも大切です。(竹井陽平)