世界初の「3つ折りスマホ」 実際に触れてみて分かった“異次元の使い勝手”
グーグルやサムスンから販売されている折りたたみスマートフォンは「閉じればスマホ、開けば正方形の小型タブレット」になる便利な製品だ。価格は高いものの、1台2役をこなすスマートフォンとして少しずつユーザーを増やしている。折りたたみスマートフォンは海外でも様々な製品が販売されているが、次世代の折りたたみモデルと呼べる製品が登場した。世界初の3つ折りスマートフォン、ファーウェイの『Mate XT Ultimate Design』だ。3つ折りスマートフォンは今までの2つ折りのスマートフォンとどう違うのだろうか? 【写真】2つ折りタイプと違い圧倒的に使い勝手が向上 ■普通のスマホが大画面タブレットに変身 折りたたみスマートフォンはなんとなくサイズが大きいと思う人も多いだろう。だが、折りたたんだ状態は普通のスマートフォンと大きさはあまり変わらない。実は『Mate XT Ultimate Design』も、片手で持ってみると楽に持つことのできる大きさだ。画面サイズは6.4インチで、大きすぎることも無くむしろ使いやすい。OSがファーウェイ独自のHarmonyOSという癖のあるものを搭載しているが、現時点ではAndroidアプリをひと手間かけて入れることもできる。 背面も高級感あるヴィーガンレザーで覆われており、カメラデザインも海外のハイエンドモデルで主流の円形ベゼルを採用している。カメラは5000万画素に加え1200万画素(5.5倍望遠)と1200万画素(超広角)の3つを搭載。『Mate XT Ultimate Design』は3つ折りというギミックばかりが注目されているが、実はカメラも優れた性能を有しているのだ。 ただし、本体を側面から見ると普通のスマートフォンとの大きな違いが感じられる。本体の厚さは12.8mmと結構厚いのだ。そこから見るとディスプレイが3枚重なっているように見えるが、『Mate XT Ultimate Design』はディスプレイをZ字型に折り曲げた構造になっているのである。USB端子を見ると1枚のディスプレイの厚さギリギリであり、薄さをとことんまで追求していることがわかる。 本体の厚みのある『Mate XT Ultimate Design』だが、ディスプレイをゆっくりと開いてみよう。すると屏風のように3枚のディスプレイが展開していく。本体を開いていく時、ヒンジには適度な硬さがあるため、途中の位置でもぴたりと止まる。ヒンジのぐらつきがあることもなく、しっかりと開閉する精密な造りは使っていて安心感をもたらしてくれる。 ■タブレットを自由に持ち運べる「真の折りたたみスマホ」 『Mate XT Ultimate Design』は1枚の大型ディスプレイの2か所にヒンジを備え、それぞれが逆向きに折れ曲がることでスマートフォンサイズとタブレットサイズ、2つの異なる大きさに変形する。このように変形するスマートフォンは現時点ではこの『Mate XT Ultimate Design』だけだ。このような製品を市販化するために中国のディスプレイメーカーとも協業しており、世界初の製品は中国の技術で作られている。 完全に開いた状態の画面サイズは10.2インチ。横方向が長く、普通のタブレットとその姿は全く変わらない。現在販売されている2つ折り型のスマートフォンは、開いてもディスプレイが正方形サイズだ。大きな画面サイズではあるものの、タブレットと比べると狭さを感じる。しかし『Mate XT Ultimate Design』はタブレットと全く変わらない大きさなので、オフィスアプリを使うビジネス用途、ゲームプレイや動画視聴を行うエンタメ用途、どちらでも快適な体験ができるのだ。 縦向きにもできるので、電子コミックや書籍を大画面で楽しむこともできる。また上半分で動画、下半分にSNSを表示する、といった2つのアプリの同時利用にも向いているだろう。 実際に2つのアプリを表示すると、片方は正方形サイズ、もう片方はスマートフォンサイズという表示もできる。『Mate XT Ultimate Design』はさらにもうひとつのアプリを小さなウィンドウで重ねて表示もできる。この複数アプリの表示は2つ折りのスマートフォンでもできるが、2つ折りスマートフォンの画面サイズはあまり大きくないので使い勝手はそれほど高くない。しかし『Mate XT Ultimate Design』はタブレットのように自在に大画面を好きなように使えるのだ。 『Mate XT Ultimate Design』のさらなる特徴は本体の厚さ。閉じたときは厚みのあるスマートフォンだったが、完全に開くとわずか3.6mmの厚さとなる。ここまで薄いタブレットは他にはないだろう。また重量は298gで、スマートフォンとしては重いかもしれないが、タブレットとして考えるとかなり軽い。 『Mate XT Ultimate Design』の価格は中国で1万9,999元、日本円で約43万円だ。スマートフォンとしてはかなり高く、ここまで高いならばスマートフォンとタブレットを別々に購入したほうが安上がりだろう。しかし『Mate XT Ultimate Design』はこれ1台でスマートフォンにもタブレットにもなるのである。小型の折りたたみキーボードをポケットに入れておけば、どんな場所に移動しても本体を開き快適に仕事もできる。「スマホ1台あれば何でもできる」を実現できる製品なのだ。 3つ折りスマートフォンはファーウェイ以外のメーカーも製品化を目指しており、いずれ価格も引き下がっていくだろう。ビジネスやエンタメの新たなツールとして、2つ折りスマートフォンの普及を待たずに、3つ折りスマートフォンの製品数が拡大していくかもしれない。この手のギミックが好きなユーザーの多い日本にも、ぜひ3つ折りスマートフォンを投入してほしいものだ。
山根康宏