習近平主席が「開港!」を宣言したペルーの巨大新港は「トランプ対策」?
トランプ新政権のナンバー2は「反中」
来年1月20日に始動する米ドナルド・トランプ新政権の陣容の「反中度」が、半端ない。ナンバー2の副大統領に就任するJ・D・バンス氏(40歳)は、共和党大会初日、7月15日に行われた副大統領受諾指名演説で、高らかに述べた。 【画像】中国に帰る「在日中国人」が増えている…日本に長く住む中国人が抱える悩み 「われわれはアメリカの労働者の賃金を守っていく。その裏で、中国共産党が彼らの中産階級を築くのをストップさせる」 外交の要(かなめ)となる国務長官に指名されたマルコ・ルビオ上院議員(53歳)は、「最も反中的な上院議員」として知られる。中国はルビオ上院議員を、2019年6月に香港で始まった民主化運動の「煽動(せんどう)者」とみなして、同年7月に、中国入国禁止リストに加えた。 それでもルビオ上院議員は、同年11月、香港人権民主主義法の成立を主導。2021年12月には、新疆ウイグル自治区の生産品をアメリカが受け入れないとするウイグル強制労働防止法の成立を主導している。アメリカと台湾とのFTA(自由貿易協定)締結も唱えている。 素朴な疑問だが、中国入国禁止リスト入りしているルビオ上院議員は、国務長官になっても訪中できないのだろうか? 例えば後述するAPEC(アジア太平洋経済協力会議)は、2026年秋に中国で開かれることが決まっている。 続いて、トランプ次期大統領が安保担当大統領補佐官に選んだのは、マイク・ウォルツ下院議員(50歳)だった。こちらも中国とのさらなるデカップリング(分断)や、2022年2月の北京冬季オリンピックへのアメリカのボイコットを呼びかけた対中批判の急先鋒だ。
トランプ新政権は「中国叩き政権」…?
先週、ワシントンを訪問した日本のあるシンクタンク関係者は、「トランプ当選後のアメリカの変化」に驚きを隠せなかったという。 「今月5日以降、ワシントンの雰囲気が、また一段と『反中』に傾いた。『アメリカ政府は一体いつまでウクライナに支援し、ロシアと対決しているのだ。真の敵は、ロシアでなく中国だろう』」。共和党の関係者たちは、口々にこう言う。 第2次トランプ政権とは、『中国叩き政権』と言い換えても過言ではないだろう。彼らがイメージしているのは、1981年に発足したロナルド・レーガン政権だ。当時のレーガン政権は、ソ連を『悪の帝国』と呼んで、『スターウォーズ計画』などを推進し、追い詰めていった。そして周知のようにソ連は、レーガン政権発足から10年後の1991年に滅亡した。 40年数前と同じことを、今度は中国に対して行おうというわけだ。トランプ新政権の面々が想定しているのは、単に中国製品に関税をかけるとかいうことではなく、中国共産党政権を滅ぼすための全面的、長期的な対決だ」 こうした「アメリカの変化」を受けて、習近平政権は戦々恐々としていることが想像できる。 そもそも「中南海」(北京の最高幹部の職住地)の人々にとって、2017年に始まった第1次トランプ政権との「仁義なき戦い」は、まだ記憶に新しい。その詳細は、先週のこのコラムで述べた通りだ。 トランプの勝利で、米中激突は不可避なのか…?「トランプvs習近平の暗闘史」をプレイバックする https://gendai.media/articles/-/141199 そんな中、習近平主席が、リマAPEC(アジア太平洋経済協力会議)とリオデジャネイロG20(主要国・地域)サミットに出席するため、11月13日から21日まで、ペルーとブラジルを訪問した。習近平主席にとって、実に6回目の南米訪問になる。