渋沢栄一を敬愛する看板娘が、ラジオ局で統括ディレククターとパーソナリティを任されていた
新紙幣が発行されてから4カ月以上が経つ。最初は物珍しかったが、現在ではすっかり馴染みのデザインになっている。 ▶︎すべての写真を見る 福沢諭吉に代わって1万円札の顔を務めるのは渋沢栄一(1840~1931)。生涯で500もの企業の設立・運営に携わり、日本で初めての銀行を設立したことでも知られる実業家だ。2020~2021年度には彼を主人公にしたNHKの大河ドラマ『青天を衝け』が放送された。 今回の舞台はそんな渋沢の名前を冠し、昨年11月に開局した地域密着型のインターネットラジオ局。
駅前の複合レジャー施設「サンスクエア」の2階に上がると、目指す「しぶさわくんFM」の収録スタジオがあった。 運営するのは北区、荒川区を中心とした都内城北地区および埼玉県南東部などに本・支店を持つ城北信用金庫だ。
そして、別のスタジオの前でーー。
さっそく、ご登場いただきましょう。
こちらは「しぶさわくんFM」の統括ディレクター・高野未来(みく)さん。 彼女が生まれ育ったのは東京渋谷区。4歳からピアノを習い始め、やがては音楽大学に進学し、ピアニストになるという夢も持っていたという。
「でも、冷静に考えるとそこまで強い夢じゃないなと思って、都内の私立大学の文学部に入学しました。就職活動に関してはとくに業界を絞らず、いろんな企業を見ていたんです」。 大学4年生のときに就職活動の手伝いをしてくれるゼミに入ったところ、担当の先生が多摩信用金庫の元職員。そこで信用金庫という金融機関の存在を知り、結果的に城北信用金庫への入庫に至る。 「城北信用金庫に魅力を感じたのは、地域のプラットフォームになるというビジョンを掲げながら、非金融部門のコミュニケーション開発事業部の活動に力を入れている点。地域密着型のラジオ局を開設したのもその一環なんです」。
配属されたのは支店の窓口。入出金業務の他にも新商品の説明や法人向け融資の対応などを担当していた。 「私たちとの雑談を楽しみに通ってくださるお年寄りもたくさんいらっしゃいました。お金の貸し借りだけならメガバンクでもできますが、地域に根ざした信用金庫にはそのようなコミュニケーションからお客様の課題が見えてくるという強みがありますね」。 「接客中はずっと笑っていました」という未来さんは半年後、本人の希望でコミュニケーション開発事業部に異動。北区内のさまざまなイベントに関わるようになった。 そのひとつが、地元の商店主たちの思いによって1956年から開催している赤羽馬鹿祭りだ。