<欧州サッカー>今日から決勝T ユーロで起きている「異変」
アウトサイダー的な国が決勝トーナメントへ
ヨーロッパ大陸の王者を決める4年に一度のビッグトーナメント、欧州選手権(ユーロ2016)がいよいよクライマックスに突入する。グループリーグを終えてベスト16が出そろい、日本時間25日夜から一発勝負の決勝トーナメントが幕を開ける。 フランスで開催されている今大会から、これまでの16ヶ国から24ヶ国へ出場枠が拡大された。同時に決勝トーナメントの規模も倍となり、6つに分かれて戦ったグループリーグの上位2ヶ国だけでなく、3位になった6ヶ国のうち上位の4つが進めることになった。 初出場を果たしたのはアイスランド、ウェールズ、スロバキア、北アイルランド、アルバニア。44年ぶりに出場したハンガリーを含めた6ヶ国は、開幕前の時点では出場枠増の恩恵を受けた、いわばアウトサイダー的な存在と見られていた。 しかし、ふたを開けてみれば常連の強豪国と互角以上の勝負を展開。アルバニアを除いて決勝トーナメントへ進出し、ハンガリーとアイスランドに至ってはグループFの1位と2位に入り、クリスティアーノ・ロナウドを擁するポルトガルが3引き分けの3位でかろうじて生き残るサプライズを起こしている。 ドイツサッカー協会の公認S級ライセンスを取得し、ブンデスリーガ1部のビーレフェルトでヘッドコーチを務めた経験をもつ解説者の鈴木良平氏は「結果だけでなく内容も伴っていた」と、アウトサイダー勢の躍進に共通する理由があると強調する。 「もっとも変わったのはフィジカルコンディションです。優勝候補のドイツやスペイン、伝統国のイングランドやイタリア、開催国フランスとほとんど差がなくなっている。ヨーロッパ勢はどの国も高い技術をもっているが、持久力やスタミナ、パワーといったフィジカルコンディションで差があると、試合のなかで技術そのものを出せなくなってしまう。そこが強豪国と二流国の差となってきたが、ベースとなる部分が上がってきたことで対等の戦いができるようになった。 そして、フィジカルコンディションがもっとも反映されるのが守備となる。90分間を通してフォアチェッキングやハイプレスをかけ続けられるほどの体力を身につけ、アップ&ダウンのハードワークも繰り返せるようになっているからこそ、時間帯や試合状況に応じてブロックを作るといった使い分けもできている。そうした守備戦術を確立できていないチーム、あるいは突出した個人に頼り切っているチーム、具体的にはロシアやチェコ、ウクライナ、スウェーデンが最下位で姿を消したのは決して偶然ではないと思う」