<欧州サッカー>今日から決勝T ユーロで起きている「異変」
ヨーロッパサッカー 新しい時代の幕開けか
グループリーグでは3連覇を目指すスペインが3大会ぶりとなる黒星を喫し、イングランドもウェールズの後塵を拝してそれぞれ2位で通過する波乱も起こっている。 その結果としてひとつのブロックにドイツ、スペイン、イタリア、フランス、イングランドと強豪国が集結。1回戦でスペインとイタリアが激突し、勝者が準々決勝でおそらくドイツと対峙する。 鈴木氏はスペインがイタリアを下すと予想したうえで、ドイツとスペインの準々決勝が「今大会における事実上の決勝戦になる」とこう続ける。 「両国の差はほとんどないが、グループリーグの戦い方を見る限り、ドイツのヨアヒム・レーヴ監督のほうが問題点を修正しながらチーム力を上げている。両国ともワントップが悩みだったが、マリオ・ゲッツェが本来の調子を取り戻せないと見るや、レーヴ監督は3戦目からマリオ・ゴメスに変え、彼がターゲットとなることでトーマス・ミュラーをはじめとする周囲の選手も生きるようになった。 対照的にスペインのビセンテ・デル・ボスケ監督はほとんどメンバーを変えていないが、ワントップがアルバロ・モラタのままでいいのかという点で疑問が残る。現時点ではドイツのほうが若干ながら上回っていると言っていいが、同時に注目したいのは、実力が拮抗している今大会の流れが9月から始まるW杯予選にも間違いなく継続されること。常連国がロシアの地で戦えない事態もありうる。それだけハンガリーや北アイルランド、アイスランド、アイルランド、ウェールズは怖い存在となっている」 すでに決まっているW杯予選の組み合わせでは、ユーロ2016に続いてハンガリーはポルトガル、北アイルランドはドイツと同じグループに入っている。後にヨーロッパサッカーの歴史を振り返ったときに、群雄割拠の戦国時代がフランスの地から始まったと言えるかもしれない。 (文責・藤江直人/スポーツライター)