バレー久光製薬が女王 MVPの石井優希「優勝は久光にしか似合わない」
攻撃面でも光った「修正力」
攻撃面でも、修正力は光った。セッターとアタッカー陣がコミュニケーションを重ね、トスの高低や選択を修正。ブロッカーの弱いところから攻めることで被ブロックを減らした。 「久光製薬はレフトレフト」+「アキンラデウォのブロード」というJTの裏をかき、奥村麻依がレフトに一歩動きかけたここぞというときにライトの新鍋理沙に上げた。 新鍋の打数を増やしたことで、ブロッカー陣に迷いが生まれ、レフトの石井優希や野本梨佳がブロック1枚や1枚半になることも多くなった。重要なファイナル3の2戦目やファイナルではアキンラデウォの打数も増えた。古藤が強力なオフェンス陣の力を存分に引き出した。
自分の課題を客観視し、修正した石井優希
個人としても、レギュラーラウンド後半からファイナル6でもスパイクの調子が上がらず、決定率がほぼ20%台と苦しんでいた石井優希は自分の課題を客観視し修正した。 「打つときの体勢がよくなくて、ブロックの指先を狙おうと思って打っていてもかぶって打っていたので、ブロックタッチをいいようにとられていた。着地のときに後ずさりする場面がよくあったので、体幹をしっかり締めるトレーニングから始めて、速い、ついてもらっていたトスをちょっとゆっくりにしてもらった。それで打点も上がり打ち分けられるようになった。前でヒットするとブロックが見えて、自分の中で余裕ができたので、脇を抜いたり上を抜いたりゆるいボールでブロックアウトなどいろいろできた」 「パスが返らないと攻撃面でも沈んでいくのが自分の悪いパターン。Aパスに持っていければ、久光は点数を取っていけるチームだから」とまずはパスに集中した。復調した石井優希はファイナルでも硬軟織り交ぜ強打や技で得点を重ね、攻撃の「軸」となった。 岩坂名奈は天皇杯皇后杯の負けの後の4試合、スタメンを外れた。その期間に自分を見つめ直した。「私が前衛で決められないとサイドへの負担が大きくなりマークも厳しくなる。存在感を見せていかないと。そのためにしっかりと攻撃に参加していく」。ブロード攻撃などの打数を増やし、ブロックも見直した。ファイナル3、ファイナルでの岩坂のブロック得点は13。苦しい場面でネリマン、ミハイロヴィッチのバックアタックを止めた。しつこくつき数字に表れない好タッチで切り返しのチャンスを作った。