バレー久光製薬が女王 MVPの石井優希「優勝は久光にしか似合わない」
久光、強さの理由とは
久光の強さの理由──。それは「修正力」、対応の早さだろう。リーグが進むにつれ、相手チームは「打倒久光製薬」に目の色を変え、研究や対策し、さまざま仕掛けてきた。それで一度はやられることもあったが、すぐに「修正」した。 例えば、レギュラーラウンドの昨年の最終戦の佐賀大会トヨタ車体戦、天皇杯皇后杯デンソー戦。両チームはサーブ戦略として、いつも狙う石井優希ではなくゾーン1(バックライト)の新鍋理沙をターゲットにした。その位置からのパスはセッターが上げづらく、アキンラデウォのブロード攻撃の助走コースも封じられる。サーブレシーブの名手、新鍋のわずかなほころび。苦しめられた久光製薬はトヨタ車体には辛勝したが、天皇杯皇后杯ではデンソーに敗れた。 しかしそれもすぐに克服してみせた。1月14日の神戸でのホームゲーム、皇后杯で敗れたデンソーとの試合では同様に攻めてきても新鍋はパスを好返球、アキンラデウォ、森谷史佳の両ミドルも60%を超える決定率。ストレートでリベンジを果たした。同じ手は通用しない。
ミドル対策もきっちり、サーブ効果率でも主導権
ファイナル6のJT戦の敗戦後もそうだった。敗れた試合ではサーブの弱さも加わり、芥川愛加、奥村麻依の両ミドルに速攻やブロード攻撃を自在に決められ、久光製薬のリードブロック&ディフェンスが分断。逆にブロックで14得点(両ミドルで10得点)を与えてしまった。 しかしファイナル第1戦では、そのミドル対策もきっちりされていた。初っ端、ファイナル6で思うように決められたCからDあたりの位置へのブロード攻撃にアキンラデウォ、石井優希が2枚でつき、石井がシャット。それでJTの攻撃組み立てプランが崩れた。 「とにかくサーブを強化した」と酒井新悟監督が語ったように、ファイナル6では6チーム中最下位だったサーブ効果率でも主導権を握った。 レセプションを崩されたJTはセッター田中美咲が思うようにミドルを使えずサイドに頼る展開に。そうなれば久光製薬のブロック&ディフェンスが効く。サーブからのトータルディフェンスがよみがえり、流れは終始、久光製薬になった。