トイレ介助は女優経験を活かして「壁のシミ」になる! ケアマネと女優のダブルワークを実践する、北原佐和子さんの声かけ術
「花の82年組」の一人として17歳でアイドルデビューを果たし、その後ドラマ「水戸黄門」などの時代劇にひっぱりだこに。数々のドラマや映画、舞台で活躍中の女優・北原佐和子さんは、今年で還暦を迎えられたそうです。 そんな北原さんは、実は42歳から「女優と介護職のダブルワーク」をしているのだそう! 「女優と介護はとても似ています」と語る北原さんは、著書『ケアマネ女優の実践ノート』で、40代からの介護職、その学びがい・やりがいについて、とても前向きな気持ちを綴っています。 そこで今回は本書から、北原さんが挑んだ40代での介護職デビューと、現場で実践する「トイレ」と「お風呂」の声かけについて、一部抜粋してご紹介! 高齢の家族のサポートにも役立つさりげないコミュニケーションなので、ぜひ参考にしてみてくださいね。 北原佐和子(きたはら・さわこ)さん 1964年、埼玉県生まれ。女優、ケアマネジャー、准看護師。1981年、高校在学中にミス・ヤングジャンプに選ばれ、翌年、“花の82年組”としてアイドルデビュー。その後は『水戸黄門』などのドラマ、映画、舞台などで女優として活躍。そのかたわら、2005年にホームヘルパー2級、2014年に介護福祉士、2017年にケアマネジャー、2020年に准看護師の資格を取得し、首都圏の施設、認知症専門クリニックで介護・看護スタッフとして精力的に活動を行う。2024年、鹿児島県垂水市・たるみず大使に就任。著書に『女優が実践した介護が変わる魔法の声かけ』(飛鳥新社)がある。
40代、介護の仕事スタート。41歳でホームヘルパー2級を取得
40代にさしかかる頃、ホームヘルパー2級の資格を取ることにしました。 女優の仕事が一段落し、まとまった時間が確保できたタイミングで、2週間ほど毎日講義を受けて、41歳のときに資格を取得しました。 その後、介護事業所が掲載されている本をいただき、「事業所はこんなにたくさんあるのね。だったら、私が働けるところがあるかも」と思い、掲載されている事業所に問い合わせをしてみました。 女優業に携わっていることをお話しして、 「数か月ほど時間が空く期間に、じっくりと働きたいと思っています」 と正直にお伝えしました。しかしながら、30か所ほどに電話しても、「それではシフトが組めませんから……」と断られてばかりでした。 そうですよね。でも、最後に連絡した宅老所で、 「ごちゃごちゃ言わず、一度来てみて!」 と答えてもらえて、ようやく介護の仕事をスタートできました。 空いた時間に働いたり、ときには撮影を終えてから、宅老所の夜勤に入ったりしていましたね。それはそれで楽しかったのですが、所属事務所の理解は得られませんでした。「介護の仕事のことは、公言してはいけない」と釘を刺されていました。どうして隠す必要があるのか、腑に落ちませんでした。