多彩なシニア世代をひきつけ成長する植木屋 自然と接する自由な働き方を実現
自分のペースで働けるのがメリット
――会社員の⽅がカットデザイナーになる理由は様々だと思いますが、還暦前後の人たちの主な動機は何でしょうか。 色々なことで疲れてうちに来る人が多いです。仕事で始発電車に乗り終電で帰るため、家で家族と一緒に食事をするのが難しい生活を送っていた方々。定年退職後に趣味を始める人もいますが、カットデザイナーになるのは、「働きながらも自分の時間を持ちたい」と考えた人が多いと思います。 そういう方々からすると、自分で仕事のスケジュールをお客様と決め、それなりの収入も得られる点が支持されていると思います。サラリーマン時代の収入を上回る人も結構います。 ――カットデザイナーの方々は多趣味で、仕事も趣味も生涯現役を目指している方もいると聞きます。 日本の大会で3位になった元プロサーファーもいます。サーファーは、例えば朝5時に海に行き、そのあと10時からの剪定の見積もりに行けます。早朝から出勤しなければならない会社員だと、良い波が来ていても、サーフィンを短時間で切り上げなければなりません。 こういう人たちが集まったことに、試行錯誤する中で、気づきました。当初は全く意図していなかったことです。最初の4年間は赤字でしたが、人が増えていくにつれて、「こういう働き方が良いのだ」と逆に教わりました。 このようなシニア世代の働き方は、時代が求めているものだと考えています。「こうした人たちを増やしていけば、ビジネスとして成り立つだろう」と考え方を変えて以来、黒字が増えました。 【写真説明:カットデザイナーの吉田修也さん(58歳)の前職は大手旅行会社社員。会社が早期退職者を募集した際、手を挙げた。実家に庭があったことや、大学生の娘が造園の勉強をしていたこともあり、植木屋になることを決断した。四季の移ろいを五感で感じながら仕事ができることや、イメージ通り剪定できた喜びを顧客と共有できるのが何よりの喜びだという。その場で仕事の成果が分かるのも魅力だと語る。(写真提供:クイック・ガーデニング、撮影:照井賢久氏)】