斎藤元彦・兵庫県知事にくすぶり続ける公選法違反疑惑…渦中のPR会社メルチュの「請求書」と「見積書」で違う印影が
兵庫県の斎藤知事の公選法違反疑惑がくすぶり続けている。斎藤知事は「代理人に対応を一任」と繰り返し、代理人の奥見司弁護士は先月27日に会見を1度だけ開いたきり。 【写真】雲隠れPR会社女性社長のヒンシュク「映え」実績 会見で奥見氏は渦中のPR会社「merchu」(メルチュ)からの請求書を公表し、計5項目計71万5000円分の仕事は「政治活動や立候補の準備行為として対価の支払いが認められている」と疑惑を否定。メルチュの折田楓社長が投稿サイトに「広報全般を任されていた」などと記した内容は「盛っている」とまで言ってのけた。 ただ、奥見氏はメルチュから斎藤知事側に「見積書」が届いたことを明かしていた。前出の発注内容のほか、「YouTube用動画撮影」などの項目があったという。 「しかし見積書は公開しないまま。実際は見積書通り選挙中の動画撮影も依頼し、報酬を支払う契約だったのではないかとの疑念は残ります」(会見に参加したジャーナリスト・横田一氏)
代理人弁護士「会見するつもりはない」
日刊ゲンダイの手元にはメルチュの別の見積書がある。メルチュは2019年度から今年度まで広島市観光政策部「SNS活用プロモーション業務」を受注。市と交わした見積書や請求書などを公開請求し、開示されたものだ。 斎藤知事側の請求書の印影(写真①)と広島市の見積書の印影(写真②)は明らかに異なる。 「広島市側は重要書類に押す『代表取締役印』(丸印)、斎藤知事側は『会社印』(角印)でしょう。一般的に請求書に丸印は用いず、担当者が認め印代わりに角印を押すのが通例。見積書は会社の代表の記名と丸印を求められることが多い。丸印は法務局に登録した印鑑で、いわば会社の『実印』。偽装すれば当然、罪に問われます」(ある企業の総務担当者) 広島市の書類には折田氏の手書きとみられる記名や金額が散見されるが、斎藤知事側の請求書には一切、手書きの文字はない。 「折田氏は雲隠れを続けており、公開された請求書をメルチュ側が作成した裏付けは取れていません。代理人弁護士は改めて会見を開き、メルチュの見積書も公開すべきです」(横田一氏) 奥見氏は日刊ゲンダイの取材に「告発状が受理された今、見積書は捜査機関に提出せざるを得ず、公開の意思はない。会見も今のところ開くつもりはない」と答えた。斎藤知事が説明責任を果たさない限り、兵庫県政の混乱は続く。 ◇ ◇ ◇ 斎藤知事本人とPR会社社長を刑事告訴した神戸学院大学の上脇博之教授と元東京地検検事の郷原信郎弁護士に聞いた“手応え”は――。●関連記事『【もっと読む】斎藤元彦知事は“無双”から絶体絶命に…公選法違反疑惑で刑事告発した上脇教授と郷原弁護士に聞いた』で詳報している。