「よりよい世界を見るため」のアイウエア、スペイン発パラフィナCEOインタビュー
■解決策はアップサイクル 「廃棄物に第二の命」与える
──どんな製品を手がけているのでしょうか。またブランドのコアビジョンとは? サミュエル 私自身、「よりよい世界を見るために働く」というビジョンを掲げてきました。私たちのプロダクトには、ほかにはない2つのユニークな特徴があります。それは、すべての製品がエコフレンドリーであり、同時に社会的であること。 創業当初から、素材の約85%にさまざまなリサイクル素材を使用しています。 代表的なのは、タイヤのゴム、アルミ缶、ペットボトルでおなじみのPET(ポリエチレンテレフタレート)、そしてシャンプーボトルなどから得られる硬質のプラスチックである高密度ポリエチレン(HDPE)の4素材。 廃棄物に第二の命を与えるアップサイクルを通じて、主力製品であるサングラスのほか、リーディンググラス(老眼鏡)、ブルーライト保護メガネを生み出しています。 材料の約15%には、竹をはじめオーガニックで持続可能な素材も採用。 私たちが主として扱うこれらの素材は、それぞれの原材料本来の特性である耐久性、軽さ、柔軟性を備えています。環境に配慮しているだけでなく機能的であることも強みといえます。
■教育こそ変革を起こす軸 パラグアイで実践
――ビジョン実現へ、挑戦はものづくりにとどまらないそうですね。 サミュエル 「世界を変える」という私たちの取り組みは、製品にとどまりません。 変革の軸は教育にあると考え、質の高い教育を支援するソーシャルプロジェクトをパラグアイで実施しています。 この試みの背景には、かつて自分がボランティアとして携わった、首都アスンシオン近隣にある小さな学校との出合いがあります。 売り上げの5%を奨学金や教育者が運営する学校支援プロジェクトに寄付し、子どもたちの未来をサポート。これが、「社会にも貢献する」という私たちのコアビジョンのもう一つの側面です。 ──ブランド立ち上げ時に直面した課題はどんなものでしたか? サミュエル リサイクル素材で作られたサングラスのクオリティーが、通常のサングラスに劣らず同等であること。その点を潜在顧客に理解してもらうのが、何より難しかったです。 10年前、リサイクル素材で作られたファッションアクセサリーを見つけるのは一般的ではありませんでした。 幸い、いまでは誰もが、持続可能な素材と品質は相反しないことを理解していると感じます。消費者がサステナブル素材のアイテムを求めている時代の潮流も、パラフィナの成長の追い風になっています。