「難病の客からは1人90万円を」過剰な訪問看護、背後にいた人物とは 福祉ビジネス、違法な助言をするコンサルも
こうしたコンサルは和田氏だけではない。 障害福祉サービス事業者を主な対象に経営コンサル事業を手がける一般社団法人「介護福祉サポート協会」(東京)。公的な団体かのような名前だが、そういうわけではない。 代表理事は佐藤国英氏(64)。約10の会社や法人で代表を務めており、自身でも精神科の訪問看護ステーションや障害者向けグループホーム(GH)など約70カ所を各地で運営している。 佐藤氏によると、開業を支援した訪問看護やGHなどの事業者は全国で約300。ウェブサイトでは、コンサル先が運営するGHは2021年時点で約千カ所あるとしている。 サポート協会がコンサル先を対象に今春実施した「訪問看護勉強会」の資料を入手すると、「損をしない報酬の取り方」「報酬の最大化」などとして、ノウハウが説明されていた。その中に次のような文言があった。 「(訪問先は)ステーションでも作業所でもOK」
健康保険法で訪問看護は患者の居宅で行うと定められている。障害者が通う作業所などで訪問看護を提供して、診療報酬を請求すれば違法となる。 訪問看護ステーションの診療報酬では、老人ホームやGHなど同一の建物に住む人が利用者の7割以上になった場合、減額する制度が2月に発表された。これについて協会は「障害者GHは同一建物に該当しない」との解釈を示し、減額の対象にならないと説明。さらに「住民票をGHから移動するのも一つの手」と書いている。 これは事実なのか。厚労省に尋ねると、こう答えた。「物理的に同じ建物であれば、障害者GHであっても、住民票がどこにあっても『同一建物での訪問』であり、制度の想定とは異なる」 ▽「間違っているなら訂正する」 佐藤氏に取材を申し込むと、協会が事務所を置く東京・麻布十番のマンションで会うことになった。やりとりは次の通りだ。 Q 協会が訪問看護の勉強会で説明している内容は、法律の規定や厚労省の説明と異なっているのでは?