「難病の客からは1人90万円を」過剰な訪問看護、背後にいた人物とは 福祉ビジネス、違法な助言をするコンサルも
これは夜間などに訪問看護をした場合に得られる加算報酬を最大限、請求しようという意味とみられる。 「和田先生のアドバイスを踏まえ、できる売上増加を早速やってもらいます」 「看護師抜きで管理者と和田先生で話す時間を多めに設け、売り上げ上昇のための対策を話しました」 次のような文言もあった。 「特指示の積極的な依頼」「特指示で介入できないか作戦立てていきます」 「特指示」とは「特別指示書」の略だ。訪問看護には医師の指示書が必要なのだが、患者の症状が悪化した場合などに医師が特別指示書を出すと、別表7、8と同様に頻繁な訪問が可能になる。診療報酬を多く得るため、医師に特別指示書の発行を頼んでいたとみられる。 アプリシェイトの複数の看護師はこう憤った。「私たちが必要ないと思っても、会社の指示で訪問看護をさせられていた。入居者のためではなく、お金もうけが目的だということがはっきりした。許せない」
▽「そういうことをすると、ダメになる」 和田氏はどう答えるのか。6月、大阪府内のアプリシェイトの老人ホームから出てきた和田氏に質問した。 Q 別表7、8の入居者に必要性に関係なく1日3回、複数人で訪問するように言っている? A それはないです。私は看護師で、30年以上訪問看護をやっているので、そういうことは言わない。私がそう言っていると聞いたんですか? ええ、そんな…。 Q では、もしそういうことが行われていたら、やめるように言うか。 A もちろん。そういうことをすると絶対ダメになる。私自身もコンサルをできなくなるし、自分の会社もそうやっていると思われるので、そういうことはしません。 アプリシェイトの社内文書を入手後、改めて和田氏にメールで質問を送ったが、回答はなかった。 アプリシェイト側にも見解を尋ねると、要旨として次のように回答した。 「コンサルタントの助言をそのまま実行しているわけではない。『1人90万円』という金額についても、実際にははるかに及んでいない。特別指示書に関する記述は、利用者のために社員の意識を高めるためのものだ。過剰に診療報酬を請求しているとは考えていない」 ▽「損をしない報酬の取り方」