甲子園「無情の雨天コールド」にネット炎上…優先すべきは大会日程の消化ではなく選手の安全と健康ではなかったか
無理に続行すればケガやアクシデントの恐れがあり、ストップがかかったのは当然の判断だったが、高校野球の試合成立は、プロの5回ではなく、7回に設定されている。ネット上では「ストップが遅すぎた」との声が散見された。 つまり、審判団は、本田が足を滑らした5回、あるいは、グラウンド状態が悪化した6回でゲームを止め、「ノーゲーム」(翌日に再ゲーム)にするべきではなかったのか、という議論だ。 ただ、そうなると6回の時点で5-1と大量リードをしていた大阪桐蔭は納得がいかなかったのかもしれない。いつ雨脚が激しくなるか分からない中でのプレーボール。両チームにとって先制点がいつも以上に大きく左右する試合で大阪桐蔭が序盤から東海大菅生の先発・桜井海理投手(3年)から衝撃の3発を奪いペースを握ったのだ。 初回にセンターバックスクリーンへ甲子園初アーチとなる先制2ランを放ったプロ注目の4番・花田旭外野手(3年)は「感触が良かった」とニッコリ。「中断中も芝とかグラウンド状態を確認し合っていた。雨の中、嫌がらずにしっかり戦えた」とうなずいた。 「互いに先制点がほしいところ。ホームランを打てるチームじゃない」と西谷浩一監督は謙遜しながらも「コーチとデータ班から”カウントを取りに来る変化球を狙おう”ということだった」とチーム力を強調。さらに雨対策として「雨を嫌がったら負け。どろんこになって粘り強く戦おう」と、ふだんの練習中から実践していることも明かした。 一方の東海大菅生は、後手を踏んだ。大阪桐蔭の先発・松浦慶斗投手(3年)は最速150キロの剛腕左腕ながら、この日は序盤から140キロ前後のコントロール重視。ところが、マウンドがぬかるみ始めると制球が定まらず、抜け球が目立っていた。 若林監督は「待つのか打ちに行くのか、迷いが出た部分はあった。7回に3点を挙げたが、反撃が遅かった。ホームランも防げたと思うのでもったいなかった」と振り返った。 大阪桐蔭は7回には1点差に迫られ、なおも2死二、三塁の大ピンチを迎えた。ここで逆転されると、雨天コールド負けしたのは大阪桐蔭の方だったかもしれない。しかし、エース松浦が空振り三振で切り抜け、最後まで主導権は渡さなかった。