甲子園「無情の雨天コールド」にネット炎上…優先すべきは大会日程の消化ではなく選手の安全と健康ではなかったか
泥沼の甲子園でイニングを試合成立まで引っ張ったあげくの無情の雨天コールドで終わった試合は「甲子園」、「土砂降り」が、SNSのトレンドワードランキングで上位にくるなど、ネット上で注目を集め、その運営方針を巡る批判的な声で炎上した。 元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏もツイッターで「雨天コールド。教育上最悪や」と声をあげた。 両チームの選手の健闘とスポーツマンシップ、そして阪神園芸の懸命の整備を称えるコメントと共に「日程ありきではないか」「順延すべきではなかったか」といった意見が噴出した。 この試合の問題点は2つある。 ひとつは、前述した試合ストップのタイミングである。もうひとつは、そもそも雨の中でのプレーボールに踏み切った主催者の判断だ。予報ではかなりの降水量が見込まれていた。だが、午前中の2時間弱だけが、強雨になりそうになかったため試合は強行された。すでに4日間の雨天順延があり、もう後がないほど日程は苦しく追い詰められていた。プロ野球の阪神ー中日戦が31日に開催されるために、ゴールを動かせず、これ以上、日程を消化できなければ、大会の完遂が危うくなる。 ただ、昨今は、選手ファーストの観点からグラウンドコンディションを重視し、天気予報の確度も上がっていることから早めの順延判断が目立つようになっている。台風接近により今大会の初日順延を即決したのも、そのひとつ。結果的にこの日も2試合目以降は雨天中止となったのだ。勝った大阪桐蔭も、負けた東海大菅生もベストのパフォーマンスを発揮できず、日程消化ありきの主催者の運営方針の犠牲になったと言っても過言ではない。 重要なのは大会日程の消化ではなく、選手の安全と健康だろう。新型コロナの感染者が出た宮崎商と東北学院が今後の出場を辞退した。そういう非常時に開催されている大会ゆえ、なおさらグラウンドコンディションも含めた「安全・安心」には最大の注意を払うべきではなかったか。 天気予報では、近畿地方は今日18日から19日にかけて、再び荒れ模様となり、かなりの雨量が予想される。主催者は、この日、中止となった第2試合以降の3試合を18日に順延。19日以降の日程を1日ずつずらし、準々決勝の翌日の26日に何とか休養日を確保し、決勝を28日とする暫定案を出したが、先行きは不透明だ。 高野連は、「大会の途中打ち切りはない」との方針を明かしたそうだが、プロ野球の開催に向けてのスポンサー看板の設置など甲子園の様相変えには、基本、中3日が必要とされていて、28日の決勝戦では、中2日しかなく、もうギリギリの状況となっている。あとは休養日を潰すか、阪神に中1日の強行準備をお願いして、ようやく、もう2日間を確保できるが、22日には全国高校女子硬式野球選手権大会の決勝を甲子園で行う予定が組まれているなど、現状の見通しは厳しい。最悪のシナリオも用意されているのかもしれないが、主催者が最優先すべきは日程消化ではなく、選手の安全、健康であることを忘れないでいただきたい。