“虎の怪物”佐藤輝明が21、22号を連発できたワケ…大人のスイングへの進化
阪神が17日、東京ドームで行われた横浜DeNA戦に6-2で快勝、2位の巨人がヤクルトに敗れたため2ゲーム差をつけて首位をキープした。チームの3連勝を引っ張ったのは、先制、勝ち越しを含む3安打2本塁打3打点の大暴れをしたルーキーの佐藤輝明(22、近大出)だ。21号は不得意とされていたインハイを攻略、22号は好調バロメーターでもある逆方向への一発だった。新人の22本は、1969年に田淵幸一氏が作った球団の新人最多記録に並び、左打者としては1946年の大下弘氏(セネスターズ)の20本を抜き新人最多本塁打となった。
苦手のインハイをさばいて21号
怪物の勢いは後半戦に入っても止まらない。1回、乱調の横浜DeNA先発、浜口遥大から得た一死満塁のチャンスに5番、佐藤のバットが火を噴いた。カウント3-1から外角高めに甘く浮いてきたチェンジアップを軽く振り抜くと打球はライトフェンスの一番上に当たった。当たりが良すぎて二塁走者のサンズが判断ミス。走者は一人しか還せなかったが、貴重な先制点をスコアボードに刻んだ。 圧巻は3回一死からの第2打席である。インハイの141キロと表示されたストレートをライトスタンド中段へ。打球を見送ったオースティンは一歩も動けない。後半戦が再開し4試合目にしての21号。 実は、このコースは佐藤のウイークポイントとされる場所だった。そもそもインハイを打てる打者など、そうはいないのだが、インハイのストレート→外を中心とした低めに落ちるボールの配球パターンで「コントロールミスさえしなければ佐藤は抑えられる」というのが、他球団のスコアラーの報告。だが、佐藤は、器用に腕を折り畳んでバットを振り抜いた。 「まあ、厳しいコースやったんですが、しっかり肘を抜いて打つことができたのが良かったです」 佐藤も自画自賛の高等テクニックである。 相手が左腕の浜口だったことも幸いした。逆に体の開きが抑えられ、右肩が残った状態から右肘が抜けてバットのヘッドが走ったのだ。 そして意外にも、これが東京ドーム初アーチ。横浜DeNAは本拠地の横浜スタジアムが五輪に使用されていたため、この期間、代用本拠地として東京ドームを使用しているのだが、佐藤は、セの6球場のすべてを制圧したことになった。