「日本のフラメンコをさらに発展させたい」と日本で活動するベニート・ガルシアさん
16歳で初来日して以来日本のフラメンコ界と深く関わってきたベニート・ガルシアさんら舞踊家3人が9月5日、東京都千代田区のインスティトゥト・セルバンテス東京で行われたビクトル・アンドレスコ館長によるインタビューで、日本でのフラメンコの歴史や将来について熱く語り合った。 同インスティトゥトのインタビューシリーズでは、毎回スペインと深いつながりのあるゲストを招き、ゲストからスペインにまつわる興味深いエピソードを聞いている。今回が6回目だった。 ベニート・ガルシアさんは21歳で活動の拠点を日本に移した。2007年から東京・赤羽にスタジオを構え、これまでに500人近くを指導してきた。ガルシアさんは、「高齢者も含め、いろんな年代の人たちが入門してきて、驚くほど上達する」などと日本人が持つ潜在的能力を高く評価する。 中でも、ベニート・ガルシア舞踊団の代表的な踊り手の1人である黒須信江さんが「文化センターで習っただけだが、コンクールで賞をとりたい」と入門してきたのに驚き、それを実現したことにも驚いたと話す。 インタビューには、若手実力派の伊藤笑苗(えな)さんも参加。伊藤さんは2024年開催の「第5回全日本フラメンココンクール」に優勝しており、ガルシアさんは「すべてをもっている踊り手」だとたたえる。 アンドレスコ館長から、今後はどんな活動をしたいかと問われた伊藤さんは「日本でのフラメンコの発展と、アジアの国々の踊り手たちとの交流もしていきたい」と抱負を語っていた。
聴衆からの質問にこたえる中で、黒須さんは、普通にテーブルの花かごを手にしておろすしぐさと、「自分の人生」をこめて花かごを持つパフォーマンスをして見せた。 人生をこめて花かごを持った黒須さんはすさまじい形相を見せた。本場スペインでは、フラメンコを語るときに、地の霊ともいうべき「ドゥエンデ」のあるなしを言うことがある。黒須さんの表情は、まさに地中からドゥエンデが乗り移ってきたかのようだった。 ガルシアさんは2017年、自らの生まれ故郷であるスペイン・コルドバ市からの依頼をうけ、日本人ミュージシャンや踊り手を率いて公演を行った。日本からのスペイン観光ではフラメンコが人気となっているが、そのフラメンコを通じた日西交流にも尽力してきた。 ガルシアさんは「フラメンコは常に進化し続けている」と強調、そんななかで、日本のフラメンコ界に尽くしていく決意を新たにしていた。