総選挙「絶対に避けられない」2つの厳しい議論、裏金問題のほかに、経済政策は深い議論必要だ
本来、金融政策は日本銀行が決定し実行する問題であり、中央銀行独立性の原則から、それに対して政治や行政が介入するのは望ましくないと考えられている。ただし、金融政策が経済活動の全般にわたって広く大きな影響を与えることから、選挙における論点とすることは問題ではない。むしろ必要とされることだろう。 石破氏は、自民党総裁選の過程で、アベノミクスの再検討を訴えたが、この路線をどう評価し、どう進めていくかは、総選挙においても問題とされるべきだろう。
次期政権が避けて通れない課題として、増税と社会保障負担の増加がある。 まず、防衛費増額の財源を確保する必要がある。これについては、増税で行うという方針が、岸田内閣によって決定されている。この決定を具体化し実行することが、次期政権の極めて重要な責任だ。 現在のところ、防衛費増額は、増税と防衛強化基金でまかなわれているが、後者は事実上の赤字国債増発による財源調達であり、問題を含んでいる。これについての再検討も必要だ。
社会保障の負担増は、介護保険料の引き上げという形で、すでに行なわれている。ただし、これで終わったわけではなく、医療保険や介護保険での自己負担の引き上げの問題がある。 社会保障制度については、これまでは若年者が負担する場合が基本であったが、人口高齢化の進展に伴い、高齢者の負担を引き上げざるをえなくなってきている。これが「全世代型社会保障」と言われることの内容だ。 まず、こうした方向付けが正しいかどうか、改めて議論されてもよいだろう。
さらに、高齢者の負担を引き上げていく場合、保険料や自己負担の算定に、現在は金融資産からの所得が適正に反映されていないという問題がある。これは、金融資産所得の課税の問題として、石破総理大臣も自民党総裁選の過程で問題として取り上げた事項だ。 ■本来は、年金改革が最大の争点となるべき 社会保障制度は、あらゆる国民の退職後生活の基本を決める大きな問題だ。2025年は公的年金制度の改革が行われる年なので、本来であれば、今回の総選挙の最大の争点は、年金改革問題となるべきだ。