ラグビー・サンウルブズのスーパーラグビー除外の真相と日本代表へ及ぼす影響とは?
ワールドカップ日本大会を半年後に控えるラグビー界にとってショッキングなニュースが海外メディアから流れた。 <サンウルブズをスーパーラグビー除外へ。豪報道> 複数のメディアの報道及び筆者調査でも国際リーグのスーパーラグビーに日本から参戦するサンウルブズが、開催方式の見直しに伴い大会から除外される方向であることは、ほぼ間違いない。そもそもサンウルブズのスーパーラグビー在籍期間は2016年の始動前から2020年までと定められていた。 この手の議論はかねてよりなされていて、当初は、現地時間3月11日に除外が決まる予定だったという。この時は日本企業と関わりの深いオーストラリアのワラターズ首脳がサンウルブズの離脱を反対したようで、サンウルブズの加わるオーストラリア・カンファレンスの4チームはサンウルブズの参加継続を支持。上位クラブの多いニュージーランド・カンファレンスは平等な立場を取りながらも、サンウルブズの存在を必ずしもマイナスには捉えていなかった。 サンウルブズの除外を強く推すのは、南アフリカ・カンファレンスの一団。アウェーゲーム時の移動距離の長さやサンウルブズの財政的貢献度の低さを理由に掲げるが、同国はかねてより日本ラグビー界へ私怨に近い感情を抱いていた。南アフリカ代表選手の多くが資金力のある日本のクラブへ移籍したことを問題視したと見られる。 ワールドカップイングランド大会開催年の2015年は、初年度に向けた準備がままならぬサンウルブズに“最後通告”まで行っていた。 スーパーラグビーの統括団体であるサンザー(当時名称はSANZAR、現在はアルゼンチンも加えた形でSANZAAR)は、サンウルブズを運営するジャパンエスアールへ「日本時間31日午前0時までに選手、コーチ、スポンサーとの契約、財務保障、国際選手会との連携などが伴わないのなら、加盟許可を取り消す」とまで通達。もし名称決定前だったサンウルブズが消滅したら、南アフリカ協会は、その流れで2019年のワールドカップ開催権を日本協会から強奪しにかかるのではとも見られていた。日本でプレーしていた南アフリカ代表選手の1人は、「南アフリカ協会は、何でもやるのです」と苦笑していた。 また国内で足並みが揃わないという問題もあった。本来ならサンウルブズと強い協調関係を結ぶはずの日本協会ともちぐはぐなやり取りに終始する。発足時のサンウルブズで要職についていた上野裕一氏は、チーム結成前の様子を「僕らは(日本協会の)理事会で(サンウルブズを支援する)絵ができているものだと思っていたら、合議が取れていないことが後々になってわかるわけです」と振り返ったことがある。だが、ワールドカップで日本代表が南アフリカ代表に勝ったことで、「(プレッシャーの)声は小さくなった」という。