養老孟司 サルやイノシシが畑を荒らすようになった意外過ぎる理由とは…「一方の秩序が、他方の無秩序を引き起こすということ」
◆現代社会の根本的な問題 都会人の問題は、意識的活動こそがまともな活動だと思い込んでいることである。寝ているのは、ただ休むためだ、と。そうではない。意識が存在することに、眠りは必然として伴っているのである。それが自然の法則である。秩序的な活動は、それだけで存在することはできないのである。 そこが納得されていないと、意識的活動のみが「正しい」という錯覚が生じる。現代社会の根本的な問題がそれだということは、わかる人にはわかっているはずである。起きている間、つまり「意識がある」間は「自分は絶対に正しい」などと思ってしまう。 だから車に爆弾を積んで自爆したりする。そういう人は、寝ている間は自分はどう考えているんだと、たまには反省すべきなのである。 起きている間は、これっきり「正しい」と思っていることでも、寝ている間にどう思っているか、知れたものではない。 ※本稿は、『わからないので面白い-僕はこんなふうに考えてきた』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
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