だから「片道2時間の電車通勤」を週3で続けられる…「92歳の現役栄養学者」がランチで必ず食べる"長生き食材"
年を重ねても元気に過ごすには、どうしたらいいのか。92歳の栄養学者で、女子栄養大学副学長の香川靖雄さんは「健康寿命を伸ばすには食生活を見直せばいい。私は健康維持のために、習慣にしていることがいくつもある」という――。(第1回) 【画像】92歳、3階の研究室までの移動はなんと… ※本稿は、香川靖雄『92歳、栄養学者。ただの長生きではありません!』(女子栄養大学出版部)の一部を再編集したものです。 ■「健康寿命を延ばすこと」が高齢期を幸せにする 世界的に見て日本人は長生きであり、喜ばしいことのように感じられます。 しかし、問題がないわけではありません。たとえば、認知症の問題。日本は世界的に見ても、高齢者人口あたり認知症患者の数が多いのです。また、要介護者の増加も気になるところです。2024年6月の時点で約716万人となっており、今後も増えていくことでしょう。要介護者を増やさず、人手不足を深刻化させないためにも、私のような高齢者に元気になってもらう必要があります。 では、どうすれば、長生きを喜ばしいことにできるのでしょうか。そのポイントの1つが「健康寿命」です。 健康寿命とは、端的にいえば、「日常生活に制限のない期間」のことであり、図表1で示したとおり、健康寿命の期間を過ぎたあと、私たちは平均して10年くらい生きることになります。つまり、平均寿命を延ばすだけでなく、健康寿命をできるだけ延ばしていくことが、高齢期の幸せの要素の1つといえるのです。 「論より証拠」という言葉があるように、本書では、幸運にも92歳になった今も元気に働いている私の日常に加え、恩師たちの生活習慣を紹介しましょう。 ■6時に起床し、まずはテレビ体操 また、世の中の多数の健康法の中で一般市民に対して具体的な実績をあげた例は稀ですが、私の指導する「さかど葉酸プロジェクト」が行なわれている埼玉県坂戸市(編集部注:女子栄養大学坂戸キャンパスの所在地)は、健康寿命が抜群で、医療費は全国最低レベル、疾患も極端に減ったことから、今年の8月に県から表彰されました。 このように、すでに多くの実績を出している栄養学の観点から有益だと思われる知見を収録したいと思います。 まもなく、団塊の世代(1947~1949年生まれ)の全員が75歳を超えます(すでに国民の約16%が75歳以上)。すでに私と同じように高齢の方はもちろん、今、社会で活躍されている年代の方々もいつかは年をとりますので、参考にしていただければ幸いです。 私は毎日朝6時には起きるようにしていますが、理由があります。6時25分にスタートするテレビ体操をするためです。10分間体操をしたあと朝食をとって、身支度を済ませたあと、大学に行く日は最寄りの鉄道の駅に家族の車で向かいます。 ちなみに、大学へは、主に火曜日、水曜日、金曜日に出勤します。水曜日は各種の会議があります。現在、講義は臨床検査技師のコースを1コマだけ。あとは、卒業研究というのがあって、学生と一緒に「さかど葉酸プロジェクト」に携わっています。 土曜日に大学に行くのは、大学院の発表会や実習報告会に参加するためです。他の先生方は週末も忙しくされていて参加が難しい方もいるため、そこは私の役目として参加するようにしています。