「俺らの時代は…」が口グセの上司にウンザリする…佐久間宣行が明かす、昭和メンタルな上司との接し方
おじさんたちはワリを食っている、と思っている
これをやろうとして多くの若手が犯すのは、上司と仲良くなろうとすること。でもずっぽりハマるのは意味がない。時間を取られるだけです。僕は上司と距離は取らなかったけど、仕事以外の飲み会は行かないって決めていましたね。 ただ、面白い断り方は死ぬほど用意していましたよ。ハッキリ断られたら上司もやっぱりムカつくだろうから、僕は「本当にハマっているゲームがあって、今朝起きた瞬間から早く帰って続きをやろうと楽しみにしていたんで」とか、「その日は推しのライブのチケット取っちゃってるんで」とか。上司と仲良くなる必要はないけど、ムダに事を荒立てる必要もないと思っていましたから。 知っておいてあげてほしいのは、今のおじさん世代というのは「俺たちはワリを食っている」と思っている世代なんですよ。ずっと頑張ってガムシャラに働いてきたのに、いろいろ価値観が急激に変わって「古い」とか「ウザい」とか言われて。実際、上世代は量的にめちゃくちゃ働いてきていますし。だからそういう上世代の苦労を意味がなかったみたいに言うのは、最低限の礼儀としてやめたほうがいいと思います。 一方でおじさんたちの若者世代に対する悩みはというと……。 おじさんからの悩み 「大変でも成長につながる仕事なのに、最近の若い人たちはやりたがらない。何かにつけて聞くのは『ワークライフバランス重視』。ちょっと注意したり、コミュニケーションのつもりで話しかけたりすると、すぐパワハラだコンプラ違反だとも言われそうだし。令和の部下の扱い方が全然分からない……」(46歳・金融関係)
期待はしないけど信用はする
上世代に言いたいのは、とにかく若い世代と分かり合えると思うな、ということ。これが一番です。だけど認め合うことはできるし、親切にすることもできるよね、ぐらいの感覚で付き合うのがいいんじゃないでしょうか。若者世代に戸惑ったり腹が立ったりするのは、全部“期待”の裏返しなんですよ。「残業するのが当然だ」「上が飲みに誘ったら来るのが当然だ」など。そうやって期待をするから裏切られたと思うわけです。 だから僕は、後輩たちに過度な期待はしません。だけど信用はします。たとえば今、来年1月末に放送する特別番組を撮っているんですけど、最初に「この日までにこれこれの案件をクリアできないと地獄になるよ」とスケジューリングを伝えて、あとは任せる。 もちろんポイントポイントで、「このあたりとこのあたりがチェック時期だけど、お前ら大丈夫?もう動き始めて3ヵ月経つけど」などと確認はします。「それで遅れたら地獄になるプロジェクトだからね、俺のせいじゃないからね」と(笑)。そうするとメンバーたちは、地獄になりたくないから必死で頑張って何とかクリアしようとしますよ。 中にはやる気のないメンバーもいますけど、そういう人にもちゃんと最初に打診はするようにしています。「君はこのくらいのバランスで働きたいのだと思う。だとしたら、この仕事量でいいか?」とか。そうすると半分ぐらいの人は「もうちょっとやります」と言うので、もうちょっとお願いするみたいな。 一方で、本当に動きたくない人には、「それでもいいよ」と言う。だけど経験から感じるリスクも伝えます。「今のタイミングでこのレベルの仕事だと、どこに行ってもなかなか通用しなくなる気がするけど、それでもいいのか?」とも伝える。 僕は後輩に、仕事のやり方については特に何も言わないけど、そのやり方によって生じるであろう将来のキャリアについては言うようにしていて。「この働き方だとこうなると思うけど、それで大丈夫?」と。ただ「やってくれ」じゃなくて、そういう評価をきちんと伝えるのも、先輩とか上司の役目だと思うんですよね。