中国包囲に再結集する「アングロサクソン帝国」の賞味期限
周縁の帝国・賞味期限の更新
総じて、イギリスからアメリカへとバトンタッチされたアングロサクソン帝国の圧倒的な特徴は「周縁の帝国」であるということだ。古代ローマ帝国も、ペルシャ帝国も、イスラム帝国も、秦の始皇帝以来の中国歴代王朝も、ルイ14世からナポレオンまでのフランスも、「世界の中心になる」という意識をもっていた。しかしイギリスとアメリカは、その地理上の条件からも、徹底的に周縁であり、強い中心が現れれば、他国と連携してこれに当たろうとした。 またこのことは、前に書いた「内陸国は統制の文化・海洋国は交換の文化」ということにもつながっている。周縁としてのアングロサクソン帝国は海洋の帝国でもあり、内陸の帝国が、経済的統制と政治的統制に傾きがちであるのに対して、経済的交換(市場)と政治的交換(議会)を重視してきた。 そして、土地としての国を離れ、海に乗り出し、未開(とされた)を開拓し、異民族を包摂するシステムによって「文化」を広げようとする。アングロサクソン帝国とは、領土の帝国でも、血筋の帝国でもなく、「文化の帝国」であるのだ。そしてまさにそのことによって、この帝国は賞味期限を更新しつづけているのである。 日本には真似できない普遍性を有するのだが、グローバル時代、参考にはなる。このアングロサクソン帝国400~500年の覇権に対して、日本はどのような位置にあるのか、どのようなスタンスを取るべきか、それはそれでひとつのテーマとなるに違いない。 一人の人間の短い人生の中でも、国家や企業の盛衰をヒシヒシと感じさせられるのは、哀しいこと(保身者にとっては)でもあり、面白いこと(挑戦者にとっては)でもある。歴史の波間は意外に身近なものだ。泳がなければ沈んでしまう。諸行無常…