病を抱えた独居老人ですーー愛妻とは「通い婚」、舌鋒衰えぬ小倉智昭の今 #ニュースその後
最近の恋愛観はどうか、と聞くと、「そっちにまでアンテナ張る余裕なかったな」と噴き出した。 「気持ちはあるよ。女性と飯食いたいなとか思うけど、塩分だめだから、食う店ないもん(笑)。今、一緒に外食へいくのは、俺のホームドクターくらい。腎臓がんやって手術した循環器の先生。たまに電話があって、『小倉さん、今日の夜、すし食わない?』とかって。お互いが傷口をなめ合いたいから(笑)。『塩分控えめね』とか言いながらさ。そんなんだもんなあ」 でもね、と小倉は言う。 「恋は、したいですよ。だって女の人、好きだもん。女房がね、『あなた気持ち悪い』って言うんだけど、俺、恋愛ドラマが大好きなんだよ。主演やってる女優さんを、すぐ好きになっちゃう(笑)。ああいいな、と思いながら見るのは勝手だもんね」
遠回りして、お金も使っちゃいました
8年前に膀胱がんがわかったとき、病院ではすぐに「全摘」を勧められた。しかし小倉はそれを拒否し、全摘を回避できる治療法を探して回った。ほかの部位に比べ、膀胱がんの治療法は例が少なく、日本は特に遅れていることを知るばかりだった。 「遠回りして、お金も使っちゃいました。これで大丈夫かなと安心していたら、大出血を起こしちゃって。素直に、はじめに膀胱を全摘しておけば、そのあとの転移はなかったかもしれない」 膀胱のまわりには、前立腺、精嚢(せいのう)があり、たくさんの神経が通う。膀胱を摘出するだけでは転移の可能性が残るため、周辺を含め、すべてを摘出すると説明され、小倉は迷った。 「全摘はしたくない、何とか温存したいなっていう気持ちが強かったの。温存できるっていうような話がけっこうあったしね。まだそのときは60代。今はセックス寿命も延びてる時代だしね、取りたくないなっていうのがあった。それで2年間頑張ったけど、だめだったんですね」 2018年、膀胱を全摘出、代用膀胱造設術を受ける。長期休養に入るも、翌年、『とくダネ!』に復帰。2021年3月、22年間続いた番組は終了した。その後がんは肺に転移し、現在、ステージ4。現実的に死が迫る恐怖と、どう向き合っているのだろうか。 「それがね。かみさんとは『俺が死んだら』とか『1年もつかな』とか、『ゴルフの会員権とか整理しておいてくれない? 私わかんないわよ』なんて平気で話すわけよ。古市(憲寿)くんも、遺言代わりに僕の人生を聞かせて欲しいって言ってくれて、こっちも言いたい放題して『本音』って本は出したんだけどさ。まあ、そういうことが話せるのも、がんだからだよね。脳卒中とかでいきなり倒れてたら、そんな話、できないもん。残された人は困ると思うよ。がんは、準備はしておけるよね。しゃくだけどさ」