「ナナサンカレラ」に右ハンがあった! 新車当時から一組の夫婦によって維持されてきた個体は約9000万円で落札されました
2.7Lエンジンを搭載! 低速トルクも拡大してドライバビリティもアップ
いっぽう、空冷フラット6エンジンは、当時の規定で3000cc以下のクラスに参入するためには排気量拡大が必須だったが、当時のスタンダード911に搭載されていた2.4Lユニットは、当時の技術ではボア径が既に限界に達していると判断された。 そこでポルシェ技術陣は、ル・マン24時間でも優勝したポルシェの超弩級モンスター、917譲りのテクノロジーである「ニカシル」シリンダーを採用。スリーブを廃したことで、2.7Lまで拡大を果たした。 このチューンアップにより、パワーは911S-2.4の190psから210psまで増大するが、実質的なパフォーマンスはスペック以上に拡大。そのかたわら、低速トルクも拡大してドライバビリティもアップするという、一石二鳥の素晴らしいマシンに仕上がったとされる。 こうして生を受けた911カレラRS2.7は、初期の予定どおり当時の3L以下のGTカテゴリーでは世界最強マシンとなり、ストリートでもライバルの羨望の的となる。 そしてこの種のスーパースポーツ、しかも限定モデルとして大ヒットを博したカレラRS2.7は、当初の予定だったFIAホモロゲートに必要な500台を、あっという間に販売してしまった。しかも、その後もモータースポーツ界やエンスージャストたちの要望は留まるところを知らず、結局予定の3倍にも及ぶ1580台が生産されるに至ったのである。
やはりツーリングとライトウェイトには歴然とした相場価格差がある……?
ものの本によると、ポルシェ911カレラRS2.7の生産数1580台の内訳は「ツーリング」が1324台、「スポーツ」が200台、そして「レーシング」が56台とされている。 このほど、ボナムズ「Goodwood Revival Collectors' Motor Cars and Automobilia 2024」オークションに出品されたポルシェ911カレラRS2.7は、「M472」ツーリング仕様のオリジナル右ハンドル車。オリジナルの外装色は現在と同じ「バイア・レッド(Bahia Red)」で、今なおシャシーとエンジン番号が一致する、いわゆる「マッチングナンバー」の1台である。 この「C16」モデルコードのRS2.7は、1973年6月7日、ロンドンのブロンプトン・ロードにある「モーターチューン・リミテッド」社によって、英国オックスフォードシャーのリトル・ハセリーに住むジョン・パトリック・ヘイワード氏のもとへ新車として納車。現オーナーの亡き夫は、1976年5月にこのポルシェを手に入れた。 現状での走行距離は6万8800マイルと記録されており、オリジナルでは珍しくエナメル製ボンネットバッジのオレンジ色が残っている。 最大のトピックは、これまでのヒストリーがサービス履歴として仔細に残っていること。1974年2月19日にモーターチューンで1万1565マイル、1976年以降の3年間は、4万1200マイルに至るまで「ハソップ・モーター・カンパニー」、1985年以降は「AFN」社で点検を受けたことが記録されている。 また1998年には「モト・テクニック」によってベアメタル状態までペイントをはがされて再塗装。くわえて1998年から1999年にかけて、エンジンは「ウィンスロウ・モーターサービス」社によってリビルトされたいっぽう、ギアボックスは2002年に「JZ マクテック」社によってリビルトされた。
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