再挑戦実る H3ロケット2号機打ち上げ成功、宇宙開発利用の新エースに
新世代大型ロケット「H3」2号機が17日午前9時22分55秒、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。小型衛星2基を所定の軌道に投入、さらに大型衛星に見立てた重りを予定通りに分離し、打ち上げは成功した。2001年から運用中の「H2A」の後継機だが、昨年3月の1号機失敗を受け、対策を講じて臨んだ。地球観測や安全保障、測位、通信など官民の衛星利用は、H2Aが誕生した今世紀初頭から大きく進展している。新エンジンを搭載し、コスト低減を進めたH3が、日本の宇宙開発利用の新たな主軸となる。
「ようやく産声」「満点」笑顔の開発責任者
H3は同センターの吉信第2射点から打ち上げられた。約5分後に1段、2段機体を分離した。初号機が実行できなかった2段エンジンの燃焼を11分7秒にわたり正常に行った後、キヤノン電子の衛星「CE-SAT-IE(シーイーサットワンイー)」と、宇宙システム開発利用推進機構などの「TIRSAT(ティーアイアールサット)」を相次ぎ軌道投入。さらに1時間20分あまり慣性飛行した後、2段エンジンに再着火し27秒間燃焼した。打ち上げの1時間48分14秒後、重りを分離した。 会見した宇宙航空研究開発機構(JAXA)の山川宏理事長は「こんなにうれしい日はなく、ホッとした日もない。日本の宇宙活動の自律性、国際競争力の確保に向けて大きく前進した。非常に大きな一歩となった」と述べた。 JAXAのH3開発責任者、岡田匡史プロジェクトマネージャは「ようやくH3がオギャーと産声を上げることができた。今日だけの話だが、重い肩の荷が下りた。これからが勝負で、宇宙の軌道から事業の軌道に乗るようしっかり育てていきたい」と笑顔を見せた。点数を問われると「満点です」と胸を張った。 2号機についてJAXAは事前に、H3開発の検証を目的とし、打ち上げ成功または失敗と明示する発表はしない方針を示していた。結果的に順調に飛行し、ペイロード(衛星などの積み荷)を全て計画通りに運んだことから、会見で成否について念を押された岡田氏は「成功しました」と応じた。